砂上の楼閣の終わり

「単純な話としてもうこれ以上殿下を連れていくメリットがないのもありますが、デメリットの方が強くなっていくからになります。それも時間をかければかけるほどにという形でです」
「・・・そのデメリットとはなんだ?」
「預言の中身であったりアクゼリュスの消滅はさておいたとして、こうしてキムラスカとマルクトが和平を結ぶと言った段になったなら親善大使一行の役割は無事に完結といった事と端から見たならなるでしょう。ただだからと言って今外殻大地の事についてに謡将達の事を放り出す訳には参りませんから我々はまた引き続き行動はしてはいきますが、殿下に関しましてはこの辺りで引いていただくのがよい頃合いになります・・・そしてそのいい頃合いになると申し上げた理由に関しては大きく二つになりますが、まず一つは謡将率いる神託の盾の相手をすることとなれば大きな危険が常に付きまとうことになるからになります」
「・・・確かにヴァン率いる神託の盾の強さは世界に知れ渡っておる。そんな者達と戦うことになれば、身の安全は保証出来ぬということか」
「それもありますが、もし万が一そのような事態になれば責任問題に関して様々な声が出てくるでしょう。我々には何故守れなかったと言った声が出て、キムラスカの上層部には何故止めなかったと言ったような声が出てとなり、そもそも何故他に戦える軍人であったりがいるはずなのに率先して王女殿下が戦う必要があったのか・・・というような批判の声がです」
「・・・そう考えれば確かにナタリアをそのような場所に他の誰もを差し置いて送り出すと言うのは、万が一の事が起きるのを避けるためにも止めておくべきことだということか・・・」
それで前置きをしつつジェイドが二つある理由の中の一つについてを語っていくと、インゴベルトもだが公爵も納得したような表情を浮かべた。確かにこの話から考えれば、王女が他の誰でもなく戦いに赴く事は望ましくない上で問題になりかねないと。
「その上でもう一つの理由に関してを申し上げさせていただくなら、ここで我々と離れる事により今申し上げたような処置についてに専念していただく為です」
「・・・処置に専念だと?」
「今となってはそちらも理解されているでしょうが、謡将と彼率いる神託の盾はオールドラントに住まう全ての生命にとっての驚異となります。ただそんな謡将達にはやったことに関してを償っていただくと共に、外殻大地であったりその他諸々のオールドラントの危険性を人々に説明する為のきっかけにするべきだと私は考えていますが・・・問題は謡将達を倒すなり降伏させるなりどうにかした際にその功績についての発表となった時になります」
「っ、そうか・・・そうなった時にナタリアがいたならその事から称賛が強く向けられ、罰であったりを与えられたといった処置を向けるのはおかしいとなるということか・・・」
「そういうことになります」
それで二つ目の理由だとジェイドが口にした言葉についてに、インゴベルトもそうだが公爵もその意図に気付いてハッとした。このままヴァン達を倒すまでナタリアを連れていったなら、罰を与える方がおかしいと言われかねないと。
「故にこそ私からの望みとしましてこの話し合いが終わり次第に殿下を引き取っていただけるとありがたいと申し上げました。もし一つ目か二つ目のどちらかの事態になればそちらもまた迷惑を被られるでしょうし、こちらもまた責任の追求であったり様々な余波が及びかねないということでです」
「だから潮時と言った上で、厄介払いだと口にしたということか・・・確かにそう聞けば話は納得出来るな・・・」
だからこそ・・・そう二つの理由をまとめる形で今しかないと語るジェイドの言葉に、インゴベルトもまた重く頷いた。そう聞いてしまえば失礼と取れた言葉も理解出来るというよう。









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