砂上の楼閣の終わり

「・・・ちなみに聞くがカーティス大佐、そちらはどのように今の処置についてを感じた?」
「まず簡潔に一言で言わせていただくなら妥当だと思いました。殿下とはこれまで旅路を共にしてまいりましたが、政治に関わる権限を持ったまま反省をするようにであるとか、これからの働きで挽回をするようにといったような口頭で済ませるような処置は却って逆効果だろうと私は思いました。もしそのようなことをしたなら殿下は汚名返上だとばかりに奮起をするでしょうが、もし問題が起きて注意をしたとしてもこれが最善だとバチカルを抜け出した時のように自分の方が正しいといったように申し上げる可能性は非常に高いかと思われますので」
「うむ・・・そういった懸念を我々も考えたからこそこれが良いと思ったのだ」
「っ・・・!」
そこでインゴベルトはジェイドに処置はどうかと聞くと妥当と返したその中身に同意して頷くが、ナタリアは信じられない物を見るような目をジェイドに向けた。
「・・・インゴベルト陛下がおられる前でこのようなことを言うのは本来であれば恐れ多いと言うのが普通ですが、我々に付いていくと申し上げた時から幾度か話に出たのは覚えておられるでしょう。我々は決して貴女を連れていきたいと誘った訳でもなく、自分が行きたいから付いてきたのだというようにしたということは。本来であればそこまで言われたのなら、こちらは殿下の事はそちらの立場に行動もあって歓迎出来るような物ではないと理解された上で、殿下が独断で行動をしたのもあいまりその考えを止めるなり何なりといった行動を取るのがまだ何とか殿下に罰を与えられるかどうかの瀬戸際でしたでしょう・・・しかし殿下は自身がバチカルから出る事は当然の事だと自身の気持ち以外は些事であり、我々に口酸っぱく言われたことを飲み込んででもと付いてくることを選択致しました。この結果から鑑みれば殿下に同じような事が出来る環境を与えたなら、また同じような事を起こすのではないかと考えるのは至極当然であるのは確かだと思えたから私は妥当と申し上げたのです・・・殿下の勝手を許さないためにも」
「っ!」
だがジェイドが理屈を持って冷静でいて突き放すように冷酷な目を見せながら言葉にしていった話の中身に、またナタリアは衝撃を受けたというように体を震わせた。自身の行動の非についてをあげつらわれた上で、ジェイドが本気で妥当だと思っているのが分かる様子に。
「・・・ただその処置に関しましてはこちらからの要望を一つ付け加える形でお聞きしていただきたい事があります」
「む?まだ何か足りぬ事でもあったのか?」
「いえ、単純な話としてこの話が終わり次第すぐにベルケンドに送るとは言わずとも、殿下をお引き取りしていただきたいということです」
「なっ!?」
しかしジェイドがまだ言うことはあるとインゴベルトの問い掛けに引き取りについてを口にすると、当人のナタリアは驚愕に表情と感情を変貌させた。
「・・・それはつまり、そちらとしてはナタリアを厄介払いしたいという意味か?」
「言葉を選ばずに言わせていただくなら全くそのような意図がないとは言えませんが、どちらかと言うなら潮時であるから・・・と言った方がよろしいでしょう」
「潮時・・・?」
インゴベルトはそんなナタリアの感じたことも代弁するかのよう厄介払いかと重く伺うか、まさかと認めつつも潮時との言葉もあったことに眉を寄せる。









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