始まりの時と見定める境界

(『つーかそれ以上に感じたんだけど、お前の剣の腕俺と比べると全然違って半端じゃないよな・・・こうして手を抜いてる時じゃないマジな剣を振ってるのを思い出すと、より一層そう思うぞ』)
(俺の場合は三十年分幻想郷で時間ある時は鍛練してきたし、相手にも事は欠かなかったからな~。正直、今の俺なら師匠に一対一でも勝てる自信はあるぞ)
(マジか・・・)
そんな風な自画自賛に近い言葉からルークの腕前を誉める『ルーク』に、謙遜しつつも自信を覗かせるその返しに唖然と言った声を向ける。






・・・幻想郷での三十年。様々に思い悩んだ事もありはしたが、存在する事を決めてからは色々と動いていった。その中には勿論剣の鍛練もあった。基本的に住んでいる場所が場所な為に妖怪などが襲ってくるような事など滅多にないが、自分が強くなって守れる物があるならと思ってだ。

そうして鍛練をしてきたルークだが、そこに同じように剣を扱う人物がいて仲良くなれたというのが大きかった。おかげで切磋琢磨して剣の腕を上げれたという自覚がある。そして今となっては自分の剣の腕がヴァン以上であるという自覚も確信も得ている・・・幻想郷での鍛練の結果として、そしてとある人物による行動のおかげでだ。






(と言っても俺が一人強くたって意味はない・・・だから皆と協力していかないといけないんだ。これからのこのオールドラントの為にも・・・)
(『確かにな・・・実際にキムラスカとマルクトが戦争しないようにするのもそうだけど、ダアトに預言通りにいくのが正しい生き方に世界の流れみたいに思われて動かれるのも避けなきゃならないんだしな・・・』)
しかしルークがすぐにそんな甘いものではないと言う中身に、『ルーク』もすぐに考えを改める。ヴァン一人を倒せば全てが丸く収まる・・・そういったことではないと、国々の問題の事を思い返しながら。
(っ・・・今、歌声が聞こえた・・・!)
(『ってことは、来たってのか・・・ティアって奴が・・・!』)
そんな事を考えている内にルークの耳に歌声が微かに聞こえてきて、『ルーク』もまた身構えるような声を漏らすと近くにいたヴァンが苦しむように膝だちの状態になる。
(『・・・あれ?何で俺っつーかお前は平気なんだ?オッサン苦しんでるのに・・・』)
(あ~、譜歌もそうだけどこの手の状態異常を引き起こすタイプの攻撃って心構えが出来てるとあんまり効き目がないんだよ。それにティア自身攻撃の為じゃなく眠らせる為だけにやってるから、本来の譜歌の効果になってないっぽいんだ)
(『そんなもんなのか・・・?』)
(まぁ前半はともかく、後半は受け売りだけどな・・・それよりそろそろ来るぞ!)
しかしルークに苦しいといった様子が全くないことはどういうことかを聞く『ルーク』に、理由を返していくのだがルークは途端に屋敷の上の方を見上げた。



「ようやく見付けたわ、兄さん・・・話してもらうわ、貴方の狙いを!」



(え?・・・あ、そう言えばティアの性格って違ってるから師匠への態度も違うのか・・・)



・・・それで運命の始まりとも言うべき時が来たのだが、ティアの悲痛な叫び声にたまらずルークは内心で首を傾げた上であぁと納得した。これが違いなのかと。









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