「勿論そうしなくとも問題にはなることもあるかもしれないが、それでもあの手の事についてを話すよりはまだいいと見ての事だが・・・それで進めてくれるか、導師よ？」
「・・・はい、そうしたいと思います。確かにあの手の事を話しても人々に信じられないだろうことは想像はつきますし、そんなことになったならダアトが混乱することは目に見えています。ですのでその事に関してはグランコクマに報告に行く前かその後にダアトに向かえるなら向かいたいと思いますので、詠師達にそういったようなことになったと報告したいと思いますが・・・大丈夫ですか、ジェイド？」
「それは構いませんが、大詠師が錯乱したというのであればキムラスカ側・・・陛下か公爵辺りに持っていた刃物で切りかかられたから殺さざるを得なかった辺りの文書を作った方がよろしいでしょう。単に我々からローレライの事を始めとした事実を明かされて錯乱したというだけでは少々弱いですので、陛下達がその中身を信じたと言った上で刃を向けたという方が預言保守派の印象と言うか手を振り上げようがなくなる可能性は一気に高くなるでしょうからね」
「下手をすればこちらからの不興を買うかもしれないことから、預言保守派は恐れにより行動を起こせないようにと言った狙いからか・・・分かった。後でその事についてはこちらで大詠師を殺した謝罪も含めた文書を書き上げよう。導師がいて錯乱した大詠師に対して排除の宣言をした後に我々に刃を向けたとなれば、導師の言葉もあって一層動きにくくはなるであろうからな」
「っ・・・」
その上でいかにモースの事について表向きに進めるのかとインゴベルトにイオンにジェイドと話を進めていく中、納得したインゴベルトの声にやはり嘘をつかねばならないということにイオンは少し辛そうに耐えるようにしながら拳を握りこんだ。
「・・・まぁ一先ずモースについてはそれで良いとするが、ローレライはどのようにする予定でいるのだ？今しがた話したモースの説明の為にもローレライは本当にいたのだと、一度は大衆の前に姿に現すであるとかそういった証明をしてもらうべきかと思うのだが・・・」
『それに関してはヴァン達を止めて外殻大地の降下にメドを立て、キムラスカとマルクトの首脳会談という段になってからだ。これは特にヴァン達に言えることだが、我の存在がアッシュ達と共にあると人伝の噂でも知ったのなら何を仕出かすか分からん。故にそれまでの間は噂も出ないようにしてほしい』
「何を仕出かすか、というのは・・・」
『こちらの足取りを向こうが何らかから掴むのではないかということに、こちらでは以前から話に出ていたヴァン達の予定の前倒しにかかるのではないかということだ。ヴァン達はこちらの狙いに道程がアルビオールの存在もあって掴めなかったであろうことから対峙する事は無かったが、それでも話を聞いたら形振り構わず動いてくることも有り得んとは言い切れん』
「ふむ・・・確かにローレライと聞いては奴らの目的が目的の為、どう動くか分からぬか・・・ただ首脳会談とそちらが言ったことについてだが・・・」
『現状のキムラスカとマルクトは一触即発に近い状況だろう。特に預言通りの戦争を引き起こすことを画策していたのもあってだ。故に預言かその中身に沿いかねん戦争を止めるには両国が手を取り合い、共存共栄の平和の為の道筋を作る必要があるだろう。その為に必要なのは分かりやすいトップ同士こういった目的から会談するといったパフォーマンスだと思うが、どうだ？』
「トップ同士、か・・・確かにそれくらいせねば人々は納得はせぬだろうし、その時になってこそ第七音素の集合体であり伝説の存在であるそちらの出番というわけか」
『そういうことだ』
それで次の話題とインゴベルトはローレライへとどうするのかと話し掛け、次々と出てくるその考え方に際して納得といった面持ちを公爵共々に浮かべる。そういった流れの後に出てくるのは確かに効果的だと。









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