人の皮を被った獣などいくらでもいる
・・・そんな紫から場面はバチカルの城の中に戻るが、アッシュを主とした話し合いに関しては基本的に穏やかに進んだ。いや、紫のやったことにより下手にアッシュ達の逆を張るような事をしない方がいいという空気がインゴベルト達もそうだが、兵士達にも流れていたからだ。
故に事前に公爵と話をつけていたことも相まってアッシュ達の言葉にインゴベルト達は頷いた上で、場にいた兵士達にこの場で起きたことは他言無用で誰にも言わないかと質問を投げ掛けると、兵士達は明らかに恐れを滲み出させながらそんなことはしないと口を揃えて答えた・・・やはり得体の知れない手にどことも知れぬ場所に引きずり込まれ、命を失うと言うのは是が非でも避けたいと思ったのだろう。
それで一通り話が済んだ頃にはインゴベルト達はもう預言にこだわることなくマルクトと和平を結ぶことにし、そしてヴァン達に関しては敵対するという話にまとまった。
「・・・一先ずはこれまでで良いでしょう。ただヴァン達がキムラスカとマルクトが本当に和平を結ぶこと及び、モースが死んだということはまだ黙っておく方がよろしいかと思われます。現時点でそのようか事が起きたと知られたなら私が離反して以降の行動を把握出来ていないことだったりから、計画を一刻も早くと前倒しにかかる可能性が高いでしょう」
「・・・そうならないようにするためにも、しばらくは表向きは何もないと見せつつ動く事が必要になるということか・・・そしてこちらは国内の安定というか、戦争にならないようにと印象操作に専念すべきだと」
「はい。そしてヴァン達を止めた後で外殻大地の件が一段落したなら、今度こそ本当の和平を結ぶべきかと思われます。次に戦争が起きればそれこそ預言通りといったことになりかねませんので」
「うむ・・・そうするようにしよう」
・・・そうして話もまとまり、アッシュからの声を受けてインゴベルトはこれで終わりといったように区切りをつけるように頷いて表情を重くする。
「・・・さて、取りあえず一時退出をしてくれぬか?話はまとまったが、大詠師に関してを誤魔化すには色々と時間が必要だ。一応この場にいる者達の間では先程話したような顛末にするとは決まったが、ならばこそ少し誤魔化しの為の時間が必要になる。故に後で使いの者を出すため、落ち着くまでは下層の宿で待機してもらっても構わぬか?」
「無論です」
「うむ。ではまた後で会おう」
それで時間が欲しいとその理由を併せて口にしたインゴベルトにアッシュ達は理解を示して頷き、再度の言葉を受けて一同は謁見の間を後にしていった。
・・・そうして城の中から出たルーク達だが、噴水の前でイオンが悲痛な表情を浮かべながら立ち止まる。
「・・・本当に、モースはもう戻ってこないんでしょうか・・・」
「残酷なようですが、可能性は無いと見ておいた方が良いでしょう。あの手の主の言葉を考えれば一時しのぎの誤魔化しはしたとしても到底モースが考えを翻さないと考えたからこその事でしょうし、もう既に息絶えている可能性も十分に有り得るでしょうね」
「・・・やはりそうですか・・・」
それでポツリと出てきたモースへの心配を口にしたイオンだが、振り返ったジェイドがキッパリと無いだろうと言い切ったことにより辛そうに頭を下げる。分かっていたことだが、と言うように。
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故に事前に公爵と話をつけていたことも相まってアッシュ達の言葉にインゴベルト達は頷いた上で、場にいた兵士達にこの場で起きたことは他言無用で誰にも言わないかと質問を投げ掛けると、兵士達は明らかに恐れを滲み出させながらそんなことはしないと口を揃えて答えた・・・やはり得体の知れない手にどことも知れぬ場所に引きずり込まれ、命を失うと言うのは是が非でも避けたいと思ったのだろう。
それで一通り話が済んだ頃にはインゴベルト達はもう預言にこだわることなくマルクトと和平を結ぶことにし、そしてヴァン達に関しては敵対するという話にまとまった。
「・・・一先ずはこれまでで良いでしょう。ただヴァン達がキムラスカとマルクトが本当に和平を結ぶこと及び、モースが死んだということはまだ黙っておく方がよろしいかと思われます。現時点でそのようか事が起きたと知られたなら私が離反して以降の行動を把握出来ていないことだったりから、計画を一刻も早くと前倒しにかかる可能性が高いでしょう」
「・・・そうならないようにするためにも、しばらくは表向きは何もないと見せつつ動く事が必要になるということか・・・そしてこちらは国内の安定というか、戦争にならないようにと印象操作に専念すべきだと」
「はい。そしてヴァン達を止めた後で外殻大地の件が一段落したなら、今度こそ本当の和平を結ぶべきかと思われます。次に戦争が起きればそれこそ預言通りといったことになりかねませんので」
「うむ・・・そうするようにしよう」
・・・そうして話もまとまり、アッシュからの声を受けてインゴベルトはこれで終わりといったように区切りをつけるように頷いて表情を重くする。
「・・・さて、取りあえず一時退出をしてくれぬか?話はまとまったが、大詠師に関してを誤魔化すには色々と時間が必要だ。一応この場にいる者達の間では先程話したような顛末にするとは決まったが、ならばこそ少し誤魔化しの為の時間が必要になる。故に後で使いの者を出すため、落ち着くまでは下層の宿で待機してもらっても構わぬか?」
「無論です」
「うむ。ではまた後で会おう」
それで時間が欲しいとその理由を併せて口にしたインゴベルトにアッシュ達は理解を示して頷き、再度の言葉を受けて一同は謁見の間を後にしていった。
・・・そうして城の中から出たルーク達だが、噴水の前でイオンが悲痛な表情を浮かべながら立ち止まる。
「・・・本当に、モースはもう戻ってこないんでしょうか・・・」
「残酷なようですが、可能性は無いと見ておいた方が良いでしょう。あの手の主の言葉を考えれば一時しのぎの誤魔化しはしたとしても到底モースが考えを翻さないと考えたからこその事でしょうし、もう既に息絶えている可能性も十分に有り得るでしょうね」
「・・・やはりそうですか・・・」
それでポツリと出てきたモースへの心配を口にしたイオンだが、振り返ったジェイドがキッパリと無いだろうと言い切ったことにより辛そうに頭を下げる。分かっていたことだが、と言うように。
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