人の皮を被った獣などいくらでもいる

「そちらはこちらが何をしに来たのかと考えていたのかは置いておきますが、こちらは戦争をしないようにということを筆頭として預言通りにならないようにしたいということに加え、外殻大地の問題を解決することとヴァン達を止めることを協力して行いたいという話し合いをする為に来たのです」
「っ・・・そんなことの為に来ただと・・・!?」
「大詠師が預言の中身に関してを本当だというように信じられないだろうことは話をする前から想像は出来ていましたが、だからと言って話をしないなどというままに事を進めるのは望ましくないと見たからこそ話をしに来たのです。まだ今は戦争にならずに済んではいるものの何も話をしなかったなら、今のままならキムラスカが戦争にいずれ取り掛かるといった可能性もあるということもそうですが、最も有り得る可能性としては戦争を行うことになったなら最早ヴァン達に向き合うことなど出来ず・・・ヴァン達の思い通りに事が進み外殻大地が軒並み壊され奴ら以外が死に絶えるか、もし最優先に事に挑んで奴らを倒すことが出来たとしても我々の手がないキムラスカでは以降のパッセージリングの操作が出来ずに残りの外殻大地が崩れ落ち、キムラスカにマルクトにダアトと全て滅びることは避け得ぬ事態となるでしょう」
「っ!!」
そうしてアッシュが丁寧ながらも一切希望的観測を持たせないような中身の将来についてを話していき、その中身にモースはたまらずに言葉を詰まらせ大量の汗を顔に浮かび上がらせた・・・特に後者のマルクトだけならモースとしてはまだともかく、キムラスカにダアトまで滅びる可能性があるとのことに。
「そのようなことを避けるためにはヴァン達を倒して止めることは勿論、キムラスカにダアトとも連携を取らねば様々な障害があるということから我々はここに話をしに来たのです。一時的に停戦をするという形にしてやるから全てが終わったならまた戦争を開始しようという形にして納めるのではなく、完全に戦争にはしないようにというだけでなく友好条約を結んで余程でなければ再びにらみ合いにもならないような関係にする形でです」
「・・・それは、預言の中身もあるためにか・・・」
「そうなります・・・話の中で出てきた預言についてを信じたくないという気持ちを抱かれるのは理解はします。ですが嘘だと断じて都合のよい事だけが詠まれた預言が出てくることだけを求め、その預言通りの結末になったとしたなら誰が責任を取るか以前にこのオールドラント自体が終わってしまうという事になります。そう考えたならばこそローレライやユリアが望んだように預言が詠まれた本当の意味を取り戻す形で動き、ヴァン達をどのような形ででも止めてオールドラントの存続に取り組むことが最善だと我々は思っていますが・・・それには叔父上達に大詠師の協力が不可欠なのです。預言に対して心残りがあるのは分かりますが、ここは我々に協力してマルクトと手を取ってはいただけないでしょうか?」
「「「・・・」」」
そうしてアッシュがマルクトや自分達との協力について真剣に考えてほしいと訴える声を向けていき、三人の間に沈黙が訪れた。預言など関係無い真の友好を結び、共に動こうという決して軽くない話の中身に。



(『・・・二人はこんな反応してるけど、モースは・・・』)
「・・・ええいふざけるな!先程から妄言ばかりを口にしおって!」
(・・・やっぱりモースならこういった反応になるよな・・・)
・・・だが時間にして十何秒もない内にモースが口にして表情に現したのは怒りで、その様子を黙って見ていたルーク達は予想通りといった声を内心で漏らしていた・・・悲し気な声色で。









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