人の皮を被った獣などいくらでもいる

「ま、待て!そちらの言うことはまだそれで良しとしよう・・・だが奴らがそうすることはともかく、預言の中身が問題だ!滅び行くホドの中に第七譜石があって、そこで命からがら見たその預言の中身がオールドラントの終末を詠んだ物だと!?そんなもの信じられるか!デタラメか偽物だ!」
「モース・・・」
しかしそこでモースが一斉に嘘だとわめきたてるようにアッシュを指差しながら否定してきて、その様子にイオンが悲しげに声を漏らす。分かっていた事ではあっても、モースがそんな事を容易く信じられる筈がないと。
『だが事実だ』
「「「っ!?」」」
「ローレライ・・・何故出てきた?」
『我が出てきた方が話を進ませやすいと見たからだ』
・・・そんな時にローレライがアッシュの持っていた鍵から出てきて発言をしたことにモースだけでなくインゴベルトに公爵も目を見開き驚愕するが、自身らの横に留まるように位置付けたことにさして驚くことなくアッシュは会話を交わす。
「あ、アッシュよ・・・今その光をローレライと呼んだか・・・!?」
「はい。ローレライは我々が行動をしていく中で偶然にも接触し、そこからここに来る直前に彼を助け出したことにより我々に協力をするということからこの渡されたローレライの鍵に憑く形で行動を共にしてもらっています」
「ローレライ・・・それに鍵・・・本当に本物だと言うのか・・・」
その動揺の中で何とか公爵が話を切り出してアッシュが鍵を抜いて自身の前に出しながら説明をする中身に、呆然としたような表情を浮かべていた。信じきれないというのを隠しきれず。
『話を戻すがモースよ。そなたはヴァンがユリアの子孫であったことは聞いているであろう?』
「そ、それは確かに聞き及んでいるが・・・」
『それを踏まえヴァンが元々ホドで暮らしていたという事実・・・これはつまりはユリアに子孫がいたこともそうだが、ユリアがそこにいたことの証明にもなる。そしてそう言ったことを考えよ・・・もしそなたなら大切な物を保管したいと思った時、目に届く場所とそうでない場所のどちらに保管したいと思う?』
「そ、そんなものは勿論目に届く場所だろう・・・自分の手から離れた所に大切な物があるなど、気が気でないだろうからな・・・」
『それがユリアの考えた事だ』
そんなことはさておきとローレライはモースに対して質問を投げ掛けていき、動揺覚めやらぬままに答えを返していく中で焦点はそれだと告げる。
『元々第七まである譜石は大衆に詠んで見てもらうためにあるものだった。ただそれは繁栄の為に詠まれた物ではなく、むしろその逆・・・詠まれた中身にならない滅びを避けるための物だ』
「な、何を・・・!」
『そちらがそんな反応をすることは分かっているし、ユリアが生きていた時代の者達・・・そなたのように預言が繁栄の為に詠まれた物だと信じて疑わない者達が第七譜石に詠まれた預言の中身を聞けばどうなるかというのが、先程のそなたのような反応になる。いや、それだけならまだしもだ・・・折角滅びを避けるために詠んだ物なのに、こんな偽物存在することすら許されないと跡形もなく消滅させられたとなったなら預言を遺した意味が完全に失われることになる』
「・・・だからユリアは第七譜石に関してせめて自身が生きている内は目の届く所に置いておいたということか。預言の中身が偽物だと断じるような輩に見付かるであったり、最悪の展開として壊されるようなことを避けるためにも・・・」
『そういうことだ』
「っ・・・!」
そうしていかにユリアが考えていったのかを話していくローレライに、インゴベルトはその意図を察して重い表情と声になるのだがモースの表情は納得がいかないとばかりに怒りに満ちたものに染まっていった。明らかにその中身を受け入れられないとばかりに。









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