人の皮を被った獣などいくらでもいる

「ですので最悪の場合はそうしてください。無論そんなことを話したならナタリアの性格上なおのこと放っておけるかというように言い出しかねませんので、そこについては触れないようにする形でです」
「・・・分かりました、そうします・・・」
そうして再度もし駄目だったならと念押しをすると、アニスは頷き返した。もしもの時は自分だけでも逃げると。


















・・・そうして二人と部屋を出てナタリアのいる部屋に行き、室内のベッドに腰掛け意気消沈しきったナタリアがいるのを部屋の外から確認してからルーク達はアニスを残して宿を後にしていった。



「・・・大丈夫なのでしょうか、ナタリアは・・・」
「今優先しなきゃなんねー大丈夫はナタリアの精神の安定よっか、俺らもそうだけどナタリアやアニスの命だ。言っちゃなんだがナタリアの事は後でにするしかねーよ」
「・・・そうするしかない、ですか・・・」
そうして宿から出て上に向かう天空客車の中でイオンがやはりというように心配の声を漏らすが、ルークの言葉に改めてそれしかないのだと表情を暗くする。
(『やっぱまだイオンは割り切りきれねーよな』)
(それは仕方ないって。イオンの性格を考えたらな。まぁここじゃナタリアの事をどうにかするってのもそうだけど、どっちかって言ったらアニスにあぁいったように言うのが重要だったからな)
(『何気に何も言わないから前には気付かなかったって話で、アニスが表立って裏切る可能性は否定出来ないんだったよな・・・』)
(今となって思い返せばって事だけどな・・・)
そんな中で『ルーク』が話し掛けてきたのだが、先程のやり取りはナタリアよりもむしろアニスの裏切りを警戒しての物だとルークは少し悲し気に漏らす。
(アニスとしちゃ表向きには俺達と敵対するつもりは無いだろうし今の流れなら気持ち的な部分も相まってそうしないとは思うけど、本当に最悪の場合は俺達を見捨てて自分だけでも生き残るようにすることは何処かで考えてただろうからな・・・だからさっき言ったことはこっちを裏切らないようにさせるためのもしもの保険として、情に訴えかけておこうって物だ。今のアニスがどう転ぶか分からないからって事でな)
(『ただそういった事を知らないアニスとしちゃかなり苦心する事になる・・・自分がスパイだって事が知られてないって思うからこそ、どうしたらいいのかって』)
(その辺りで色々と悩ませるのは心苦しいって思うけど、ナタリアに乱入されたりアニス自身がもう裏切る方がいいんじゃないかみたいに考えられる方がまずいって話になったからあぁした・・・この辺りは申し訳無いとは思うけど、モースの事を終わらせるまではせめて大人しくしてもらわないとややこしくなるからな・・・色々と本当に・・・)
そうしてアニスの危険性について少ないながらもあるからこそ対策を取った結果と話し合う中、ルークは本気で申し訳無いというように漏らしていく。アニスを完全に信じることが怪しいと思ったのは確かであり、そういった事の予防をしたことについてを・・・


















・・・そういった話をする中でルーク達を乗せた天空客車はバチカルの最上部まで到達し、足を止めることなく城の前に来た一同はルークを代表とする形で城の前にいた兵士に高圧的に話し掛け、急ぎ陛下に取り次げと言って問い合わせをさせた。

それで待つこと数分と言った所で城の中に入った兵士が戻ってきて、今から会われるとのことですのでお入りくださいと門を開けられたことにより一同は城の中に入り一直線に謁見の間に向かった。









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