「・・・少し話がズレました。申し訳ありません、父上」
「いや、構わん。むしろそちらが言ったように下手に殿下に考え無しに情けを向けるのは望ましくないと言うのが認知出来たというのは良いことだと思った・・・私達はもうここを出て今の話を陛下にしに行く。明日に来るのであれば遠慮なく来るようにしてくれ。門を守る兵士達には何かあればすぐにこちらに伝えるようにと言ってあるため、そちらがバチカルに戻ってきたと伝えれば無下には出来ぬだろうからな」
「はい、分かりました。ではまた明日にお会い致しましょう」
「うむ。ではな」
それでそれまでの話の流れについてを公爵に向けて頭を下げるアッシュに首を横に振り、明日の流れについてを口にした後でセシル少将と共に公爵は部屋を後にしていった。






「・・・これで一先ずは陛下達に会う事は出来るようになりましたが、ナタリアは明日には陛下やモースと会えるのでしょうか・・・？」
「正直とても薦められるような状態ではないでしょう。一日二日であっさりどうにかなるほどナタリアの気持ちの回復は早くないと見た方がいいかと思いますからね・・・彼女が自分ならどうにでもなるとタカをくくっていた事もあってです」
「あんなことを簡単には予想は出来ないかと思うのですが・・・」
「中身は予想は出来なくともそれを聞けばどれだけ過酷な事になりかねないかに関して、散々と言っていい程には念押しされました。自信を持たれることは悪いこととは言いませんが、あのナタリアは自分なら大丈夫と過信し過ぎていた上で最悪を考えなさすぎたと言っても過言ではないと思いますよ」
「・・・そう言われると否定出来ません・・・」
・・・そうして二人がいなくなったことでイオンがナタリアに関することを心配げに口にするのだが、ジェイドからの返しの言葉の数々にまた俯くように顔を下に向けた。言ってること自体は正論でしかなかったために。
「ま、そこんとこについてはともかくとしてだ・・・多分明日に連れてくかどうかについちゃ大丈夫な状態になるって考えねー方がいいんじゃねーかって俺は思うから、アニスでも付けてここに置いといた方がいいって俺は思うぞ」
「・・・アニスを、ですか？」
と、次にルークがいつも通りといったように発言するのだが、アニスをナタリアにとの中身にイオンは怪訝そうな目を向ける。
「話の中で出てきたろ、変なタイミングで乱入されて欲しくないって。だから俺としちゃ見張りも無しにナタリアに一人でいられるよっか誰かストッパーが必要だと思ったから言ってんだけど、適任ってヤツが誰かってなるとアニス以外いねーんだよ。俺とアッシュはあのオッサンのやったことに対しての証言役で、ジェイドとイオンはマルクトとダアトの代表として出席した方がいい・・・ってなると残りはアニス以外いねーだろ。ナタリアにつけれる面子はよ」
「確かにそうだな・・・人員的に余裕がないから導師の護衛は俺達でやらねばならんが、それでもナタリアを一人放っておけばどうなるか分からん。それこそ最悪の場合として昨日今日の事について誤魔化しながら話をうまく進めていたのに、やはり自分がどうにかしなければとその中に入って来てそれらについてを明かしたのなら全てが台無しになりかねん」
「っ・・・そう考えるとアニスに付いてもらった方がいいという訳ですか・・・分かりました、後でアニスに話をしましょう・・・」
そうしてルークがいかにアニスにナタリアについてもらうべきかに関して考えたのかを口にし、アッシュも必要だろうと理由つきで同意を口にしたことにイオンも冷や汗を浮かばせながら頷いた。ナタリア一人で全てが台無しになりかねない可能性に。









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