見つけ暴かれて
「誤解の無いように言わせていただくなら、私はナタリアの事が嫌いだという訳ではありません。ただ本物か偽物かは関係無く、あのナタリアの自我の強さは簡単に改善出来る物ではないのは父上も理解されているでしょうし、また王女という立場に戻すのであれば誤魔化しも含めて取ったナタリアも共にアクゼリュスに向かったという処置も相まって、処罰無しに留めるといった事になりかねません。勿論表向きというように裏では何かしらの処置は取るかもしれませんが、それも父上や叔父上達が政治から離れるか死去するくらいにまで時間が進んだならナタリアは意気を取り戻すでしょう」
「・・・そうなればもう取り返しのつかない事態になりかねないことから、殿下との婚約を破棄して結婚しないようにした方がいいという事か・・・」
更にいかにナタリアに関して危険性があるかを語るアッシュに、その中身を受けて公爵も結婚自体が危ういのだと感じたように漏らす中でイオンが不安げに口を開く。
「ですがそれではモースがいなくなった後、ナタリアが今より更に追い込まれることになるのでは・・・」
「言っておくが今の状態はまだマシな状態だと言わざるを得ないものだぞ、導師。恐らくなどと言う必要もなくナタリアがまどろっこしいから真っ先にバチカルに行こうと言っていた時にそうしていたなら、間違いなくモースはその事実を嬉々としてナタリアを黙らせるために口にしていたばかりか父上達は俺達をまとめて始末にかかっていただろう。そう考えれば悔い改める時間もあるばかりか、父上達がこうして話を聞いてくれる状態にあるだけ断然にいいものだと思うがな」
「っ・・・それだけまだいい方だと、今のあの状態を鑑みた上で言っているんですか・・・」
そうして出てきたナタリアに対する思いやりを問うような声に対してまだマシといったよう返すアッシュに、イオンも引いた様子を見せながらもその中身に納得せざるを得なかった。有無を言わさず死を望まれ事実を明かされることと今のどちらがマシか、それを理解してしまう物だった為に。
(『まぁ多分っつーかイオンが言いたかったのはナタリアを慰めてやれよって事だったんだろうけど、見事に理論のすり替えに乗ってしまったよな・・・』)
(と言ってもナタリアと結婚しない流れにするのもあるから、励ますだけでもアッシュにとっては良くない流れになりかねないしな・・・それに父上に変にナタリアとアッシュがくっついた方が収まりがいいだなんて思われても困るだろうし、アッシュもアッシュで更にそうならないように押し込みに入るだろうな。ナタリアの事を受け入れるつもりがないって押し込みに)
そんな光景にルーク達はナタリアに対してキツいと理解していると話しつつ、次のアッシュの発言に注目する。
「そうなるが・・・話の中で出てきたよう、ナタリアが取ってきた行動に関しては本来は王族や貴族が取るものとしてはとても望ましい物ではない。そして明日にナタリアがどういった状態になるかは分からんが、どちらにせよモースをどうにかしたならその事の責任に関して問い質す事は必要だ。そしてルークにジェイドもピオニー陛下もナタリアの行動については完全に独断であったとの言質を取っているし、俺も良くない行動だったと認識している・・・泣くのは構わんとは思うが、結局の所は自業自得だ。見捨てるような薄情な行動を取るのかと言われるのは承知の上で言うなら、誰かが助けるようなことをするのはナタリアの為にはならん。むしろ思い上がりの増長を生みかねんと見ている・・・だから導師もどうにか口添えなどしたいと思うことも、それを行動に起こそうとするな。これに関しては誰であるにしても誰かが味方になるというのは思い直してもらうには不適格な事だからな」
「っ・・・味方になることすら、ですか・・・分かり、ました・・・そうします・・・」
そうしてアッシュがいかにこうするべきかを語るその話の中身に、イオンもうなだれるよう力なくも頷くしかなかった。感情より理屈を優先して考えねばならないというその理屈の中身に否定を返せず。
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「・・・そうなればもう取り返しのつかない事態になりかねないことから、殿下との婚約を破棄して結婚しないようにした方がいいという事か・・・」
更にいかにナタリアに関して危険性があるかを語るアッシュに、その中身を受けて公爵も結婚自体が危ういのだと感じたように漏らす中でイオンが不安げに口を開く。
「ですがそれではモースがいなくなった後、ナタリアが今より更に追い込まれることになるのでは・・・」
「言っておくが今の状態はまだマシな状態だと言わざるを得ないものだぞ、導師。恐らくなどと言う必要もなくナタリアがまどろっこしいから真っ先にバチカルに行こうと言っていた時にそうしていたなら、間違いなくモースはその事実を嬉々としてナタリアを黙らせるために口にしていたばかりか父上達は俺達をまとめて始末にかかっていただろう。そう考えれば悔い改める時間もあるばかりか、父上達がこうして話を聞いてくれる状態にあるだけ断然にいいものだと思うがな」
「っ・・・それだけまだいい方だと、今のあの状態を鑑みた上で言っているんですか・・・」
そうして出てきたナタリアに対する思いやりを問うような声に対してまだマシといったよう返すアッシュに、イオンも引いた様子を見せながらもその中身に納得せざるを得なかった。有無を言わさず死を望まれ事実を明かされることと今のどちらがマシか、それを理解してしまう物だった為に。
(『まぁ多分っつーかイオンが言いたかったのはナタリアを慰めてやれよって事だったんだろうけど、見事に理論のすり替えに乗ってしまったよな・・・』)
(と言ってもナタリアと結婚しない流れにするのもあるから、励ますだけでもアッシュにとっては良くない流れになりかねないしな・・・それに父上に変にナタリアとアッシュがくっついた方が収まりがいいだなんて思われても困るだろうし、アッシュもアッシュで更にそうならないように押し込みに入るだろうな。ナタリアの事を受け入れるつもりがないって押し込みに)
そんな光景にルーク達はナタリアに対してキツいと理解していると話しつつ、次のアッシュの発言に注目する。
「そうなるが・・・話の中で出てきたよう、ナタリアが取ってきた行動に関しては本来は王族や貴族が取るものとしてはとても望ましい物ではない。そして明日にナタリアがどういった状態になるかは分からんが、どちらにせよモースをどうにかしたならその事の責任に関して問い質す事は必要だ。そしてルークにジェイドもピオニー陛下もナタリアの行動については完全に独断であったとの言質を取っているし、俺も良くない行動だったと認識している・・・泣くのは構わんとは思うが、結局の所は自業自得だ。見捨てるような薄情な行動を取るのかと言われるのは承知の上で言うなら、誰かが助けるようなことをするのはナタリアの為にはならん。むしろ思い上がりの増長を生みかねんと見ている・・・だから導師もどうにか口添えなどしたいと思うことも、それを行動に起こそうとするな。これに関しては誰であるにしても誰かが味方になるというのは思い直してもらうには不適格な事だからな」
「っ・・・味方になることすら、ですか・・・分かり、ました・・・そうします・・・」
そうしてアッシュがいかにこうするべきかを語るその話の中身に、イオンもうなだれるよう力なくも頷くしかなかった。感情より理屈を優先して考えねばならないというその理屈の中身に否定を返せず。
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