「・・・重ね重ね同じようなことを言うようだが、この場だからこそ言わせてもらうが私と陛下には殿下に対する想いは存在はしている。しかし殿下が起こした行動は貴族や城内で働く者達の間では公然の秘密のような形で知れ渡っている上で、先程預言が無かったら自分の行動は間違っていなかったといった言葉を放っていた様子を見れば、とてもモースをどうにか出来たとしても何の罰も無しに済ませることは出来んだろう。ただ民の反応の事もある上で預言の事を明かすのはこちらとしては望むべき事ではないから、最大限の情けとして死刑にしない代わりに僻地へ地位剥奪の上で送って残りの生を過ごすというのが妥当だとは思うが・・・そうなれば残る問題は何かと言えば、跡継ぎをどうするかになるのだが・・・」
「・・・そこで我々、もしくはどちらかだけでもキムラスカに戻ることが望ましいと言うことですか」
「・・・そういうことになる」
公爵はナタリアに対する考えと気持ちを苦さを交えながらも口にする中、言い淀む言葉からその先を察したアッシュの声に重く頷き返す。
「・・・モースよりの話を受けた際、我々はキムラスカの跡継ぎについてをどうするかを真剣に話し合った。その中で私はシュザンヌの存在があるために不貞行為を行うのは悪評を避けるためによくないという事から、陛下が戦争になった後に気運を高めるために適した相手を見極め再婚までは行かずとも子どもを為すというように進めようと話していた・・・だがそちら二人のせめてどちらかだけでも帰ってくるなら話は違う」
「王家の威信を損なうことなく王家の血を引く者が後を継ぐから、という事もあってなのでしょう・・・だからこそお二人は我々どちらかにだけでも戻ってもらいたいと考えたのでしょうが、そうしたいという気持ちは理解をしました。そして私としてはオールドラントを平穏無事に存続させるためならキムラスカに戻ることは辞さない気持ちはありますが・・・ナタリアに関しては今言われたような厳粛な対応をすることを望みます」
「なっ・・・！？」
公爵は続けて自身らの事についてを話すのだがアッシュが自身の考えを明かす中、ナタリアに対して突き放すような事を口にしたことに公爵が絶句した。
「言わんとする事は分かります。ルーク、いえ本物の『ルーク』である私に対してナタリアがどれだけの気持ちを抱いているのかということに関しては、父上も屋敷で暮らしている時のルークへの接し方を見て感じた事でしょう。そしてこの旅でナタリアは私に対して共にキムラスカに戻ってほしいといったような言葉を度々かけてきましたが・・・ナタリアに対しての処罰を厳正に行わずそのまま私かもしくはルークと結婚する形で女王になったとしたなら、今までの経験上間違いなくナタリアは気を取り直すどころか自分は本物のナタリアではないのだからより頑張らなければならないと、意気込んで空回りするのは目に見えています。そしてそうなれば女王という立場になったことから、私かルークのどちらかの言葉でも止まらなくなるのもまた予測がつきます」
「・・・だから今私が言ったような処置と共に、婚約の解消もそうだが子どもを作ることもないような処置を加えた方がいいということか・・・」
そんな反応を見た上でハッキリとナタリアのもしもについてを話すアッシュに、公爵も否定が出来ずに重い表情のまま納得するしか出来なかった。ナタリアの性格的に有り得ないと言いきれないなんて話ではなく、むしろ有り得ることだと。










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