見つけ暴かれて

「一連の流れに関してはナタリアがバチカルから抜け出した事からモースが自身の思う展開の為に明かしたのだろうが、もしナタリアがずっとバチカルにいたとしてもそれなら何も言わずに済ませよう・・・などと思っていたかどうかと言われたら、それは怪しかっただろう。それこそキムラスカがダアトや自分達の言うことを聞かなくなったり都合が悪くなったなら、事実を明らかにしてきた可能性は大いに有り得る・・・いや、マルクトを滅ぼしてある程度事態が落ち着いたと見るや事実を口にしていたという事も有り得るだろう。タイミングとしてはナタリアが子どもを生むのであったり、もう父上や叔父上が子どもを仕込めない程の状態になるといったような取り返しのつかない時に明かし、反抗しようにも反抗出来ようがないような時にな」
「なっ・・・!?」
「流石にそこまでは無いと言いたいところだろうが、預言に詠まれていたキムラスカの繁栄は達成されたとなればそれ以降の惑星預言が存在を確認されないこともある上、キムラスカが世界を統一という事を為し遂げたなら流石に以降に争乱にならんだろうという楽観的な思考になるのはモースの性格上目に見えている。となればナタリアの事実でキムラスカの王族の血は既に途絶えていて、それを明かせばお家断絶になりかねんからこれ以降も仲良くやろう・・・などと言いながらその実自分達への過度な優遇及び、反逆をするなというような一方的な要求は最低限してくるのは確実だ。そしてそうなればキムラスカはこのオールドラントの統治国というように表向きはなっても、ダアトには裏で頭が上がらず逆らうことも出来ないという構図になる・・・という訳だ」
「っ!・・・そんな、ことが・・・」
・・・もしもの場合いかにしてナタリアの預言が悪用され、キムラスカがどうなる可能性が高いのか。
アッシュが口にしていくモースの悪辣さをいやが上にでも感じさせるその予想に、イオンは表情を青くする以外になかった。今となってはもしもでしかないが、言葉として聞くだけでもあまりにも人道にもとわない物であった為に。
「ただナタリアがバチカルを出たことでそんなことにはならなかったが、言ってみれば遅いか早いかの違いでしかなかっただろう上で・・・バチカルを出たことに関しては自身が選択したことに加えて、父上が言ったように完全に自己の気持ちだけを優先した自業自得以外の何物でもない。悲しみに暮れて涙を流すのはまだしも、自分のやったことと叔父上達が出した結論については受け入れてもらわねばならん・・・これに関してだけは慰めの言葉をかけるのは筋違いだと思ったから、俺は厳しい言葉をかけたんだ」
「・・・言いたいことは分かりますが、このままナタリアを放っておくのは流石に・・・」
「だったら別の部屋で待機してもらっとけよ。泣き止むっつーか落ち着くまでなだめるってのは時間かかるだろうし、その為に時間使える程今あんまり余裕ないだろうしよ」
「・・・そうするしかないですか・・・すみません、アニス。ナタリアを別室まで送ってきてもらえますか?」
「・・・分かりました、イオン様・・・」
だからこそ受け入れてもらわなければならないし、ナタリアを慰める気はない・・・アッシュがキッパリ言い切るその様子にイオンはせめてどうにかならないかと言うと、ルークがならと案を出したことに仕方無いと頷いてアニスに指示を出すとナタリアに近付き肩を抱いて退出していった。もう力も何もなくさめざめと泣くだけで、足取りも重いナタリアを連れ・・・









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