見つけ暴かれて

「・・・貴女は自分がやったことは陛下以外の全員に受け入れられている、むしろ自分の方が正しいと皆思ってくれるとでも考えていたのかもしれませんが、それを押し通すために許可を得ることもそうですし誰かに後を頼むといった後始末も何もすることなくバチカルを離れたこと・・・そういった貴女の行動は貴族達の反感を大いに買うことになったのです」
「そ、そんな・・・う、嘘ですわ・・・」
「自分の仕事を勝手に放り出すような人物を誰が好きになるのか、ということです殿下。ましてや国の運営に携わる公務を自分の勝手だけでほっぽりだすなど、とても王女としての自覚がある行動とは言えません・・・一応は貴女がバチカルを抜け出た後は人々への誤魔化しも含めて親善大使一行に付いていったと表向きの形にしましたが、貴族達や使用人に貴女付きであったメイド達には誤魔化しが効かなかったので口止めをしましたが・・・流石に殿下を口汚く罵るような事はなかったものの、それでも貴女の行動に関してをいかがなものかといった反応をした者達ばかりで対応した者達も不敬ではあっても同じように気持ちは理解出来るからと、それらを見逃す形を取ったとの事に我々も同調して見逃す以外にありませんでした。何せ我々もそうなる気持ちは理解出来たからです」
「っ!」
だが更に公爵がいかに他人から見たならの行動の稚拙さに悪質さを口にしていき、ナタリアはその中身を聞いていき涙を大きく溢し出していった。特に誰もが誰も、ナタリアの行動を認めていなかったのだという事実を前にして。



(『とうとう我慢の限界が来たか、ナタリア・・・まぁそれもお前が色々言ったことに父上が反応したことからこうなったんだけどな』)
(まぁ確かに俺が言ったことだけど、前の時は俺が秘密をバラされるって事から連れていくって言ったし偽物だってバレた一連の流れから有耶無耶になった部分は大きかったと思うんだよな・・・今となってはって話になるけど)
その光景を見つつルーク達はそっと会話を交わす。ナタリアの事について色々とハッキリしたからこそ今こうなっているのだということを。



「・・・殿下。これに関しては貴女が勝手に起こしたことであり、我々はむしろ貴女の行動の尻拭いをした側になります。そしてその尻拭いに対しての責任はどう取るのかとなった時に貴女がただ手紙だとかそういった制止をかけただけで止まるとは思われなかったことに、モースが預言の事を切り出したこと・・・そしてルークが言ったように罰を与えるという観点で見るなら情状酌量からどう軽くするにしても、王族としての権限の剥奪は免れられない程の事を起こしたが為に、貴女にはアクゼリュスでそのままルーク達共々亡くなっていただく方が様々に収まりがいい・・・そう考えたから我々は貴女を見捨てることにしたのです」
「!!・・・そん、な・・・」
「ナタリア・・・!?」
そして止めとばかりに公爵が自身らの考えたこと及び、ナタリアのやったことの重さについてを口にすると・・・とうとうナタリアは膝から地面に崩れ落ちて顔を覆い泣き出したことに、イオンは慌てて近付く。
「・・・残酷なことを言うようだが、これに関してはナタリアの独断専行が招いたことだ。預言の事はまだしもにしてもな」
「アッシュ・・・」
だがアッシュが首を横に振り無慈悲と取れるような事を言ったことに複雑さを伴わせた目と声をイオンは向ける。
「責めたいのもある上で慰めの言葉はないのか、と言いたいのかもしれんが・・・可哀想という気持ちだけなら無いとは言わん。だが父上達にそういった判断をさせたのは自分の気持ちを優先させ、他の事を考えていなかったナタリアの責任だ。例えアクゼリュスに詠まれていた預言の事が言えなかったにしても、叔父上の制止に従ってさえいたなら少なくとも今の時点では本物の王女ではないとは言われてなかっただろうな」
「・・・少なくともに今の時点ではって、どういうことですか?」
「簡単な事だ。今言わなくてもナタリアの事はモースからして目障りな発言をするようになっていたか、キムラスカが自分の言うことを聞かなくなってきたなら奴はその事を利用しただろう。自分達にとって都合のいいように事を進めるためにな」
「「っ・・・!」」
しかしアッシュが平然とした様子を浮かべながら口にした意味深な言葉にどういうことかとイオンは首を傾げるが、返されたモースの取りかねない行動にアニス共々息を呑んだ。都合がいい上に対峙するキムラスカやナタリアからしたならあまりにも悪質な行動に。









.
17/26ページ
スキ