見つけ暴かれて

『故にこそ我は仮初めであり然程長い時間の繁栄とも呼べる時間にしがみつくより、モースを引き剥がしヴァン達を止める為にアッシュ達に協力すべきだと我は言わせてもらうが・・・同時に、ナタリアの事に関してどうするかをそちらが決めるべきだ』
「・・・私が決めろ、と言うのか・・・?」
そうして自身の考えを言葉にローレライはしていくのだが、判断を委ねられるとは思っていなかったと意外そうに公爵は漏らす。
『我が言うことは出来ぬわけではない。しかしそちらはあくまでインゴベルトの分も話を聞くということが役目であって、ここでどうこう全てを決めろという話をしてこいと言われた訳でもないだろう。それにこのような事態になることなどそちらは想定していなかったであろうからな』
「・・・そうですね。こちらとしてもいきなりの発言に対して落ち着く時間が欲しいのもありますし、インゴベルト陛下に事後承諾を取るにしてもその預言の中身がいかに大事であるかは今の話の感じから容易に予測がつきます。ですので話をするのに時間が必要だと言われるのであればもう一泊ここにしますので、そちらもどうするべきかを陛下と話し合われた方がよろしいかと思われますが・・・」
「・・・そうだな・・・済まぬが、今日はここまでにさせてくれ。本来なら明日には話の中身次第で陛下と謁見出来るようにとする予定ではあったが、これより城に戻り陛下と話をしたいと思う・・・流石に私だけで判断するにはあまりにも重い事であるからな」
ローレライはその姿に想定していないだろうといったように言うことに加えてジェイドも自分達も似たような物だからと明日への持ち越しを提案すると、公爵は力ない様子と声でそうすると返した。
「お、お待ちください!そこまで言われるのであれば、もう直接私に言えばよろしいではありませんか!確かに重大な秘密だということは分かりますが私は当事者ですし、ここまで話を聞かされたのに何も聞かされないのはあんまりですわ!」
しかしそんな決定に対して不満だと爆発したのはナタリアで、声を大きくして自身の主張を通そうとするが・・・
「よせ、ナタリア。ここで事実を明らかにしたいと言って厄介なことになりかねないのは俺達もそうだが、セシル少将だぞ」
「え・・・?」
「・・・」
そのナタリアを止めたのはアッシュだが、戸惑いを見せる姿と対照的にセシル少将は静かに目を閉じた。
「俺も簡単に予想が出来るが、その預言の中身というのはそれだけ重要でいて重大な事が詠まれているのだろう。そして現状でその中身を知るのはモースとローレライを除けば、父上に叔父上しかいないのだろうが・・・それだけの秘密というのは知るだけでもその秘密に対してどうするかという責任が発生するものだ。秘密を秘密のままにするなら何も言わないようにだとかの約束事をするだとかな・・・それは当事者であるお前もそうだし俺達も同じような物だが、護衛という名目でこの場に来てこんな話を聞く予定でもなかったセシル少将もだ」
「・・・それは、つまり・・・彼女にその責任を負わせようと私はしていたということですか・・・?」
「厳密には俺達にも勝手に、という形でだ・・・知れば後悔するやもしれないことを果敢に知ろうとすることを悪いとは言わん。だが言っていいかどうかの区別もつけないままに話をすることが正しいとは言わんし、残りの面々全員がそれを聞きたいと言ってない・・・特にキムラスカの将ではあっても軍人の一人という立場にあるセシル少将に配慮も何もなくキムラスカの秘密になりかねないことを聞かせてもいいと思うか?」
「あっ・・・」
そうしてアッシュがいかに自分達もだがセシル少将の立場も秘密を知れば危ういか・・・そう語ると、ナタリアも流石にといった様子で気付いた。臣下の軍人という立場にあるセシル少将は政治には参加しておらず、そんなことを本来聞かせていい立場にないし自分の意志ではないのに責任が生じることになるのだと。









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