見つけ暴かれて
「・・・何ですか!そのようなことを言われて私が怖じ気付くと思ったのですか!聞かせてください叔父様!私に詠まれた預言が何なのか!」
「っ・・・む、むぅ・・・」
だがそこでナタリアは怒りを浮かべながらまどろっこしいとばかりに勢いよく声を荒げて公爵に詰め寄り、公爵は戸惑いを盛大に浮かべて視線をさ迷わせる。
『落ち着けナタリアよ・・・公爵がそこまで言い淀むのはそれだけ言いにくい中身だと言うことだ。そして恐らくなどという言葉を使うまでもなく、モースは我々が前に現れればそれを用いてそなたの発言ばかりか存在を封殺にかかりにくるのは目に見えている。そしてキムラスカからしてもその事実が公にされたなら、キムラスカ王家そのものの在り方すら大きく揺るがすことになるだろう物だ・・・公爵がそこまでの状態になるという事もだが、それだけそなたやセシル少将にアッシュ達に知られたくないものだということなのだぞ』
「っ・・・」
「お、叔父様・・・」
ローレライはその様子になだめるような声をかけていくのだが、その中身にビクリと体を揺らし冷や汗を浮かばせる公爵にナタリアもそれだけの物なのかと少し恐れを抱いたように身を引く。
「・・・それだけキムラスカにとって知られてはまずいものだと言うことですか、その預言は?」
『そう言っている。だがここで話をしなかったなら間違いなくモースは我々をその預言で排除にかかるばかりか、キムラスカにも不利になることを強いてくるであろう。この事実を明らかにされたならどうなるか、といったようにな』
「っ・・・それだけの重大な秘密だというのですか、その預言は・・・」
『預言が秘密なのではない。預言を秘密にしたのであり、それを自分達にとって勝手に有用なことにしようとしていることが原因なのだ』
セシル少将も恐る恐るとその中身について慎重に尋ねてきたためにローレライが答えを返していく中、ニュアンスの違いとその考え方に問題があると言葉にした。
『ユリアが預言を遺した意味に関しては先程の話の中で出したが、それは本来の意味を見失わせる形で広まってしまうことになった。これはまだいいというより、そもそもの我々の見通しが甘かったと言わざるを得んだろう。しかし預言に詠まれたからこうするべきだと疑いを持たぬばかりか、自分達だけが知っていた事実をさも免罪符や盾のような形で使うことなど最早預言を大事と思っているのではない・・・預言の名の元なら何をしてもいいと驕りたかぶり、勝手に振る舞う事が許されると思っている暴君以外の何者でもない』
「暴君・・・」
『そうだ。そして仮にそちらがこちらの言葉など聞き入れるに値しないと我々を排除したとした上でヴァン達や外殻大地の問題もどうにかしたとしたなら、モースは表向きはキムラスカを褒め称えながらも預言の事を持ち出し自分や教団がいたからこそマルクトにも勝てて繁栄出来た上で、様々な事態を解決出来たのだと嘯き・・・その実は自身や教団に逆らわせまいとする言葉を吐いていくことであろう。そうなればモースを突っぱねる事などキムラスカの立場からは出来ないどころか、突っぱねた所で預言の中身を口にされたなら預言に従ったのもそうだがナタリアの事も何も知らずに行動したのだろうと、民衆や何も知らされていなかった貴族達から言われて大なり小なり批難されるのがオチでモースや教団とやり合うのはどうかとなるのは目に見えている。故にどちらになったとてキムラスカにとって得などないだろうし、どちらになったとしてもモースが暴君になるのは確かで預言に従って戦った所で得られる物など表向きにマルクトを打倒出来たという預言の中身の結果・・・というだけになりかねんだろうな』
「「っ!!」」
・・・そうしていかにモースが悪辣でいてタチが悪く動く可能性があるのかに、キムラスカがどうなるのか・・・それらを語っていったローレライの言葉に、公爵とセシル少将は揃って顔色から血の気が引いたといったような色を浮かばせた。仮定というにはあまりにも生々しく、否定を返すには重すぎたその中身に。
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「っ・・・む、むぅ・・・」
だがそこでナタリアは怒りを浮かべながらまどろっこしいとばかりに勢いよく声を荒げて公爵に詰め寄り、公爵は戸惑いを盛大に浮かべて視線をさ迷わせる。
『落ち着けナタリアよ・・・公爵がそこまで言い淀むのはそれだけ言いにくい中身だと言うことだ。そして恐らくなどという言葉を使うまでもなく、モースは我々が前に現れればそれを用いてそなたの発言ばかりか存在を封殺にかかりにくるのは目に見えている。そしてキムラスカからしてもその事実が公にされたなら、キムラスカ王家そのものの在り方すら大きく揺るがすことになるだろう物だ・・・公爵がそこまでの状態になるという事もだが、それだけそなたやセシル少将にアッシュ達に知られたくないものだということなのだぞ』
「っ・・・」
「お、叔父様・・・」
ローレライはその様子になだめるような声をかけていくのだが、その中身にビクリと体を揺らし冷や汗を浮かばせる公爵にナタリアもそれだけの物なのかと少し恐れを抱いたように身を引く。
「・・・それだけキムラスカにとって知られてはまずいものだと言うことですか、その預言は?」
『そう言っている。だがここで話をしなかったなら間違いなくモースは我々をその預言で排除にかかるばかりか、キムラスカにも不利になることを強いてくるであろう。この事実を明らかにされたならどうなるか、といったようにな』
「っ・・・それだけの重大な秘密だというのですか、その預言は・・・」
『預言が秘密なのではない。預言を秘密にしたのであり、それを自分達にとって勝手に有用なことにしようとしていることが原因なのだ』
セシル少将も恐る恐るとその中身について慎重に尋ねてきたためにローレライが答えを返していく中、ニュアンスの違いとその考え方に問題があると言葉にした。
『ユリアが預言を遺した意味に関しては先程の話の中で出したが、それは本来の意味を見失わせる形で広まってしまうことになった。これはまだいいというより、そもそもの我々の見通しが甘かったと言わざるを得んだろう。しかし預言に詠まれたからこうするべきだと疑いを持たぬばかりか、自分達だけが知っていた事実をさも免罪符や盾のような形で使うことなど最早預言を大事と思っているのではない・・・預言の名の元なら何をしてもいいと驕りたかぶり、勝手に振る舞う事が許されると思っている暴君以外の何者でもない』
「暴君・・・」
『そうだ。そして仮にそちらがこちらの言葉など聞き入れるに値しないと我々を排除したとした上でヴァン達や外殻大地の問題もどうにかしたとしたなら、モースは表向きはキムラスカを褒め称えながらも預言の事を持ち出し自分や教団がいたからこそマルクトにも勝てて繁栄出来た上で、様々な事態を解決出来たのだと嘯き・・・その実は自身や教団に逆らわせまいとする言葉を吐いていくことであろう。そうなればモースを突っぱねる事などキムラスカの立場からは出来ないどころか、突っぱねた所で預言の中身を口にされたなら預言に従ったのもそうだがナタリアの事も何も知らずに行動したのだろうと、民衆や何も知らされていなかった貴族達から言われて大なり小なり批難されるのがオチでモースや教団とやり合うのはどうかとなるのは目に見えている。故にどちらになったとてキムラスカにとって得などないだろうし、どちらになったとしてもモースが暴君になるのは確かで預言に従って戦った所で得られる物など表向きにマルクトを打倒出来たという預言の中身の結果・・・というだけになりかねんだろうな』
「「っ!!」」
・・・そうしていかにモースが悪辣でいてタチが悪く動く可能性があるのかに、キムラスカがどうなるのか・・・それらを語っていったローレライの言葉に、公爵とセシル少将は揃って顔色から血の気が引いたといったような色を浮かばせた。仮定というにはあまりにも生々しく、否定を返すには重すぎたその中身に。
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