「一応は今の俺の話はあくまで推測でとらぬ狸の皮算用といった話でしかなく、ティアが行動も何もしていない現状では言いがかりをこちらが一方的につけてもいい結果となるとは限らん。だから今は黙って連れていってヴァンとの対峙でどうなるかを見て判断するくらいでいいだろう・・・ただその時にティアがどんな反応をするかによっては、覚悟が必要な行動を求められるだろうがな」
「覚悟・・・つまりティアをヴァンと共に倒さなくてはならない、もっと言うなら殺さなくてはならないと・・・」
「あぁ、そういうことだ」
そうしてあくまで例えと口にしつつ覚悟という言葉にイオンが苦い面持ちで確認を取ると、アッシュはすぐに頷き返す。
「・・・ティアについてはこの辺りにしておくぞ。他にも考えがある者もいるかもしれんが、しばらくこのまま現状維持が今のところはいいだろうからな」
「「「「・・・」」」」
そしてもう何も言わないようにして終わることを口にするようアッシュに、イオン達は反対の声を出すことなく黙るしかなかった。



(『う～ん、言いたいことはあっても今はアッシュの言うようにしないといけないみたいな空気になってんのか？』)
(だと思うよ。擁護も難しいしかといって一方的な排除も望ましくないって状況だから、イオンにナタリアからしたら自分と反対じゃなく半ばほどの答えだってのもあってどうしたらいいかってな)
そんな様子にルーク達はイオン達の内心についてを考えるように話をしていき、アッシュの言っていることが分からないわけではないからという流れだとルークは口にする。
(『・・・けどこう言ってるナタリアは多分っつーかまず間違いなくバチカルで偽者だってモースにバラされて、排斥の流れを作られるってのがほぼ見えてるのがな・・・』)
(これに関しちゃ皮肉というか、何というかって感じになるけど避けようがないのは目に見えてるからな・・・状況が違うってことにナタリアはそんなって気持ちを抱くだろうから、状況的に皮肉だとかって思いは出来ないと思うけどな・・・)
しかし『ルーク』がここでナタリアの事を複雑そうに口にしたことに、ルークもまた同じように同意しつつ返す・・・激しく怪しきは罰せよというナタリアが、偽者だというなら殺すべきだと言われるという皮肉でありしっぺ返しとも取れる未来が見える事に。
(・・・もうそこから先は避けようのないことだ。けどそれを言うわけにはいかないし、アッシュの事を考えればナタリアを前のようにいかせ過ぎないようにしながら後の事を進ませないといけないからな・・・だから一先ずはティアの前にローレライとナタリ達の事についてをちゃんと上手く運ばせないとな・・・！)
だがそんなナタリアの事で戸惑うことを許されないとルークは近い未来を見据えて気を引き締める。ティアの事は置いておきと・・・









未来は築き上げる物であり待つだけで得られる物はそれだけでしかない



そして待つだけでは得られた筈の物も得られなくなる事もある



前進を選ぶ者達はいかな未来に辿り着き、待つだけの者に訪れる未来とは何か・・・



next　story









.