行く先を見て決めるべき物

「でしたら彼女を連れていくようにしなかったことに関してはこれでいいでしょう。それとも彼女がいなければ絶対に困ると言ったような事はありますか?」
「いや、困ったことはねーけどぶっちゃけ腹に据えかねたっていうか、そんな感じの気持ちが湧いたからジェイドは切り出したのか?」
「腹に据えかねた、ですか・・・まぁそれは否定は出来ませんね」
そんなアニスにまだ聞きたいことがないなら話はそれでと終わらせようとしたジェイドに、ルークが違う問い掛けを横から向けると大体その通りだと頷いた。
「この場にいる皆さんなら今更言うまでもないかもしれませんが、ティアは一応は我々に付いてきながらもこちらに協力しているといった姿勢はほぼ取っていません。いえ、彼女からしたならあれで協力している上で協調しているつもりだったのでしょう。その事に私は問題はあるとは言え、謡将に会いたいという一心でこちらにとってまずい行動を起こされるよりはマシだと考えていましたが・・・流石にあんな事を言うような彼女を無理にでも連れていく方が面倒だと思いましたし、いざというときには本当に彼女は我々を命惜しさにモースに売ってくる可能性は冗談ではなく有り得ると見たからあぁ言ったのです。付いてこさせた方が面倒になりかねないと」
「・・・まぁそりゃ俺も感じたっつーか、否定を返せなかったあいつの姿を考えりゃ大袈裟だとか俺じゃなくても言えるわけねーだろうよ」
「っ・・・」
ジェイドは続けていかにティアについて不信があるのかを語っていき、ルークも否定出来ないとその中身に同意する傍らでイオンはそっと辛そうな表情を浮かべて強く法衣を握り締めていた。
「・・・実の所、ユリアシティの市長の話があったことも加わり少しはティアの心変わりであるとか姿勢の変化についてを私は望んでいました。ですがザオ遺跡での戦闘ででもそうですが、先程の姿に発言の後ではもう彼女に劇的な変化などもう求めても意味がないと思ってこのような流れにしたのです。そうまでしてティアの変心を願った所でそれこそ命惜しさに我々を売るであったり、裏切られでもしたならここまでやってきたことが水の泡になりますからね」
「ジェイド・・・」
そんな様子を見てかジェイドが決して最初から見放すようなつもりではなかったと自身の気持ちを語っていく様子に、イオンは複雑さを更に滲ませた表情に変わる。



(『・・・ジェイドのこの言葉は本音なのか・・・?』)
(本音なのは違いないとは思う。ただイオンに対しての励ましじゃないけど、最初から見捨てるつもりだったみたいな感じに思われるのは避けたかったから、今のような感じに話したんだと思うよ)
(『あー・・・イオンとしちゃまだそっちの方が気は楽になるだろうからってことか・・・』)
そのやり取りを端で見ていたルーク達はジェイドの内心についての話し合いをし、『ルーク』は本音と気遣いが両方入り交じっての物なのだと納得する。
(ただここでジェイドだけに発言してもらうってのも良くないだろうし、アッシュにちょっと話を振るか)
(『あぁ、アッシュの意見も聞きたいしな』)
ただジェイドについては一先ずと次にアッシュへ意識を向けたルークに、『ルーク』も賛同する。









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