行く先を見て決めるべき物

「ま、一先ずは安心してください。残るにしても私の権限で我々が戻るまでの間はちゃんと生活出来るようにしますし、その後に何も無ければまた同じように連れていきます。バチカルでうまく事が運べば後は謡将達についてに残る外殻大地をどうするかが主な問題になるくらいですからね」
「・・・はい、分かりました・・・」
それで話はこれでいいだろうとばかりに冷やかでいて淡々とまとめていくジェイドにティアは力なく頷くのだが、周りの面々は何とも言いがたそうな表情を各々浮かべていた。こういう時にまず間違いなく怖じ気付くなと言うだろうナタリアまでもだ。



(『・・・多分っつーかナタリア達はジェイドの話の中身より、雰囲気に押されてるよな・・・口調だとか怒ってるみたいな感じを出してるって分かりやすく見えるようなことをしちゃいないけど、有無を言わせない雰囲気みたいなのは分かるしよ・・・』)
(だろうな・・・というかジェイドも今のローレライに対する警戒心を見て、真剣に連れていく気になれなかったからナタリア達に反論させないよう敢えてこんな風に話をしたんだろうって思うよ・・・)
そんな中で端から見ていたルーク達はそのやり取りがティアもそうだが、ナタリア達に向けた物であるのだと話し合う。それだけジェイドからしたなら自分の発言に反対してほしくない、ティアをここに置いていきたいという気持ちが伝わってきたと。
(『しかしジェイドがあんな風に言うっていうのがな・・・それだけあのティアに対して意外だったってのもあるけど、腹に据えかねたって気持ちがあったんだろうな・・・』)
(だと思うよ・・・あそこまでジェイドの声色が冷たくなったのって覚えてる限りでもそんなないし、ティアがあそこまで身勝手だったのがやっぱり響いてるんだろうな・・・)
だがそこまでさせたのはティアであり、それだけジェイドを不快にしたということにある・・・その事にルーク達もまた改めて相当の事だったのだと口にしあう。二人もまたそこにある想いがどれだけの物かを感じたためにだ。
(『つーか圧されたって部分もあんだろうけど、全く自分も行くって返してこなかったな・・・そこんとこがまたなんつーか・・・』)
(その辺りは後でアルビオールの中で話をしよう。まずティアの態度に関して話題になるだろうからその時にな)
(『・・・そうだな。その時の話を聞くか』)
ただそのまま続くかと思われた話だが、ルークが一先ず終わろうといったように口にした言葉に『ルーク』も了承を返す。後で話題になるだろうからと。


















・・・そうしてピオニーやイオン達も交えて話をし、ティアはそのまま残るといった形になってルーク達はグランコクマを後にした。やはり自分も行くだとかそういった躊躇の素振りなど全く見受けられないまま、視線も合わせない形で見送ることもなくだ。

そういった態度に各々が各々表情を変えたまま、アルビオールに乗り込み空へと飛び立った。






「・・・ねぇ、大佐・・・本当にティア、あんな風にして良かったんですか・・・?」
「良かったかも何も本人が聞けば怒りを浮かべるでしょうが、彼女を無理矢理にでも連れていった所で我々の足手まといになるオチ以外見えませんでしたし、私個人としてはもう彼女のご機嫌取りをする気には到底なれません。なのに自身の要望を通そうとする意志だけは一人前以上に立派ですからね・・・そんな彼女の希望を出来るだけ掬いとって差し上げたのですし、この場だから言えることとして彼女がいて何か得になるような事など無いでしょう?」
「それは、否定出来ないですけど・・・」
・・・それでアルビオールの中になりアニスがおずおずとジェイドに問い掛けを向けるが、ティアに対して一切暖かみを見せることのない返しに何とも言いがたげにしながらも肯定を返す。アニスとしても決してティアの態度は心地よくなかったと。









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