行く先を見て決めるべき物

「話に入るが、キムラスカから返事の手紙は届いた・・・その中身としてだが、どのようにモースにバレずに話をするのかの段取りについてになる。後は出来る限り遅くなりすぎないようにバチカルに来てもらって段取り通りにすれば秘密裏にいつでも会えるようにしてあり、罠など仕掛けることもしないから早く来てほしいとのことだ」
「早く来てほしいとは、それだけ向こうも早く話を聞きたいのでしょうか・・・」
「その気持ちもあるのは確かだろうが、目下の問題としてやはりモースを抑えることにあるのが手紙に滲み出ていた。その中身としては外殻大地が続々と降下していくのに躊躇している中で、むしろ今が好機なのではないかと戦争に踏み切るように説得をしに来ているとのことだ。モースからすれば慎重に行く云々より早く戦争に取り掛からせたいということからだろうが、だからこそしばらくはどうにか出来てもいずれは・・・というのが見えてるんだろう」
「だから早く来てほしい、ですか・・・」
それでピオニーが段取りが決まったと同時にモースの事が問題だと口にしたその中身に、イオンは辛そうな表情でアニスはたまらず嫌そうな表情を浮かべる。とことんまでに自分の考えを押し通そうとしてくるのが話だけでも分かる様子に。
「そういうことだ。だから向こうとしては正直モースの言いなりになりたくないという気持ちも相まって戦争を仕掛けたくないという部分もあるんだろうが・・・そこで一つ、こちらとしては解せんことがある」
「解せないこと・・・それは何なのですか?」
「キムラスカに繁栄が詠まれているという預言の事を考えれば向こうがその繁栄をみすみす見逃したくないという気持ちも確かにあるんだろうし、こちらの事を一概に全て信じるのもおかしいという気持ちがあるのもまた確かではあるだろう。だがここまで来てしまえば余計な雑音を遮断するために一時的にでもモースをダアトに送り返すなりして、バチカルから遠ざけたいと思うのがあちら側としては色々と望ましい筈だ。特に慎重を期するならばこそお前らがバチカルに来るとなるなら、モースにバチカルから消えてもらっていた方が確実でいて安心なのにだ」
「・・・それが出来ないことに陛下は不自然さを感じておられるというのですか?」
「あぁ、そうだ」
そうしてピオニーが話を続けていく中で口にしたモースに関する疑念にナタリアがどうういうことかと問い掛け、釈然としないといった気持ちを滲ませる返しにイオン達も眉を寄せる。言っている事が理解出来ない訳ではないからこそ、確かに腑に落ちないというよう。



(『・・・これってどうなんだ?ナタリアの事って分かった訳じゃないにしても、こんな流れになったことっていいことなのか?』)
(う~ん・・・いいか悪いかはともかくとしても、ピオニー陛下は外から見える不自然さに気付いたんだろうな。実際モースをずっとバチカルにいさせ続けるメリットなんて無いんだから、ピオニー陛下が怪しむ要素は今言った通り・・・まぁ前と違ってゆっくりと考えられる時間やら余裕があるからってのもあるんだろうけどな)
(『余裕か・・・ってことは今の状況はピオニー陛下の能力もあってか、なるべくしてなったって感じって見た方がいいか』)
その中で『ルーク』がこんな流れになったのかについてを聞いてきた為にルークが考えを口にすると、その答えに納得する。予定にない流れがあったが、起きて当然の事だったのだと。









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