行く先を見て決めるべき物

「・・・ローレライ、ですか・・・信じる信じないというのを論じている時間は今の我々にはそうありません。ですので何をしに来たのかもそうですが、まずは彼女の体を返すつもりはあるのかを手早く聞かせてください」
『案ずるな、この娘の体は少し話をするために使わせてもらっているだけだ。話が終わればこの体から我は消え去るから心配は無用だ』
「そうですか・・・では皆さん、一先ず話を聞きましょう。この様子と話の限りでは我々を害するようなことは無さそうですし、本物のローレライであると言うならこのような機会は滅多に無いことですし、何よりその目的が何か次第では話を聞いておいた方が良かったと思うことになる可能性もありますからね」
ナタリア達は少しざわめきだつような空気になる中でジェイドは務めて冷静にと言ったようローレライと話をしていき、その中身に一先ず話を聞こうと周りにも促すと全員静かになって一回コクりと頷く。
「では率直にお聞きしますが、貴方がローレライだというなら何故今この場に現れたのですか?」
『・・・それは説明の前にルークかアッシュ、どちらかで構わぬから手を出してくれ』
「・・・なんだ?・・・っと、これは・・・!」



『それはそなたらの言葉で言うならばローレライの鍵と呼ばれる物だ』



「「「「っ!?」」」」
・・・そうして更に続く話の中でローレライの呼び掛けからアッシュが伸ばした手にティアの体から光が伸びてきて、その手に握らされるように光が物質へと変わった時にローレライから言葉にされた事実に場にいた者は驚愕を露にした。伝説上の物と思われていたローレライの鍵がアッシュの手に握られているということに。
『そのローレライの鍵を渡した理由だが、簡単に言うなら今こうしてこの娘についている我はあくまで我の本体の一部を地核のスキマから何とか飛ばした物であり、我自身は地核から出られない。だがアッシュかルークがその鍵を用いて地核にまで超振動を通すイメージで使えば、我の本体が通れるだけの通り道が出来て地核から抜け出る事が出来るようになる・・・というわけだ』
「・・・地核にローレライが存在していた、とは・・・それでその鍵を渡したのは内側からでは今のように一部を出すのがギリギリであったことから、外からどうにか脱出させるために我々が来たことを知ったのもあって接触してきたということですか」
『そういうことだ』
ローレライはそんな反応に構わず話を続けていって鍵を渡したこと及びその目的についてを話していき、ジェイドの確認の声に間違いないと返す。
『・・・済まぬが、もうここまでだ。頼む、我を地核から解放してほしい。その後に礼はさせてもらう・・・』
「あっ・・・ティアから光が消えて、倒れこんだ・・・」
「今の言葉通りもうティアに憑いていられるだけの力が無かったのでしょう。そして我々に鍵を託してどうにか地核から出してほしいと我々に願うだけしか出来ず、その我々もここにずっといることは出来ません・・・もう一度彼に詳しい話が聞きたいからとティアに憑いてもらいたいと思うのは止めて、彼女を連れて早くアルビオールに乗り込みましょう。まだ時間があるからといってここに長くいるのは望まれませんからね」
「・・・そうですね、そうしましょうか・・・」
そうしてローレライが話を終えて消え去りティアが床に倒れこんだ様子にイオンが声を漏らし、ジェイドが気になることはあるがまずは先に上にと言ったことに他の面々も神妙な面持ちで頷いてアルビオールの方に向かっていった。ジェイドが最後尾を行く中でティアを抱き上げていく形で・・・









.
9/22ページ
スキ