「ですが同時にそんな様子であるからなのかこちらに不快感を抱きはしても、猜疑心というかこちらがティアを騙していたり何か隠しているのではないかという疑いを持つような様子はほとんど見せてはいません。ですからこちらが怪しいと見せるようなことが無かったなら、あちらは私達に文句を口にするだとか探りを入れてくるような事もないでしょうね」
「師匠に対してばっかりでこっちに対して関心だとかがないからか・・・」
「その辺りを考えてないというか、本当に他者に対しての興味自体があるかどうかすら微妙なものだな・・・」
しかしジェイドがだからこそと口にしたティアの考え方についてに、ルークとアッシュの二人も何とも微妙そうに表情を歪める。人を信じないというより自分達のことを見てるかどうかすら怪しいという言葉に。
「・・・ちょっと話を変えよう。あんまりティアの事ばっかりだと色々とキツいからさ」
「それは構いませんが、何か他にあるんですか？」
「前にも話は出たけど、そろそろ色々と時間が差し迫ってきたってのがあるからアニスの事をな」
「成程、アニスについてですか・・・」
そんな中でルークが話題を変えようとアニスの事を真剣な面持ちで口にすると、ジェイドもだがアッシュも表情を引き締める。


















・・・それでルークはいかな話を『ルーク』としたかについてを二人に話した。
「・・・貴殿方の話し合ったことは頷けます。と言うより中身としては私が考えていたこととほとんど同じと言えます」
「えっ？そうなのか？」
それで自身の考えを口にしたルークに対してジェイドが自分と考えが近いと返してきたことに軽い驚きを浮かべる。
「あの一家の問題の焦点はアニスと両親の認識の仕方のズレの大きさにあります。どうにか両親は好きだけど借金だったり騙されても平気な二人に変わって欲しいアニスと、生来のお人好しさはイオン様が亡くなられても変わることなどなかった両親・・・前はイオン様が亡くなられたから一時期はマシになったとは言っても、今回はそうさせるつもりなど一切ありませんから両親の気持ちをどうこうするというのは無理としか思っていません」
「・・・だからお前はアニスを引き剥がすことを考えていたということか」
「えぇ、そうなりますが・・・問題としてはどういった方向に話を進ませるかです」
ジェイドがそれでいかにタトリン一家についてを考えているかを話していき、アッシュの声を受けて一つ区切りを入れる。
「ハッキリ言いまして、アニスをダアトに残すことはその後の事を考えるなら良くない事を招く可能性が極めて高いとしか思えません。いかに両親から引き剥がして両親は両親でアニスはアニスというようにしたとしても、アニスの性格上両親を放っておくかどうかがハッキリしないと共にモースのいなくなった後の借金取りがアニスをもう関係無いと認識するかと考えると、決して大丈夫と言える物ではないでしょう」
「・・・確かにそれは頷けるな」
「えぇ。ですので私としてはアニスを養子としてカーティス家に入れ、後はダアトに近付かせず情報も耳に入れずというのが一番楽だと考えているんですが・・・当人がそれを受け入れるかどうかに、イオン様達がどういう反応をするかが重要になります。特に何故私がアニスを養子にする理由に関しての疑問を向けられた場合、正直こちらとしてはどういう理由で返せばいいのかとなります。両親の借金を知っていたなどということを言えないのは勿論ですが、かといって私が彼女を養子にしたいというにも私が子どもを作るには十分な年齢である上に、カーティス家に養子として迎え入れなければならない理由も特筆してないのですからね」
「成程・・・ジェイドの事情的に反発とか疑問から拒否をされることも有り得るってことか・・・」
更に続けるジェイドがアニスに関する不安を口にしていく中で養子として引き受けることのくだりに、アッシュも眉を寄せるしかなかった。深く突っ込まれた場合にうまくいかない可能性も有り得ると。









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