行く先を見て決めるべき物

・・・グランコクマの謁見の間にてピオニーと話をしたルーク達。イオンの意思確認が取れた後の話の中身をまとめるとシェリダンで障気をどうにか出来る装置が出来るまで待機し、そしてそれが完成して障気をどうにか出来たならグランコクマにそのまま戻ってきて報告をする・・・そしてその時にはキムラスカ側から手紙が届いているだろうから、その時にどうするかを話し合うということでルーク達は一路シェリダンに向かった。






(『なぁ・・・オッサン達は前のようにシェリダンに兵を向けてくると思うか?』)
(まずないだろうな。以前はアニスの情報があったから正確に俺達の居所や目的を知ることが出来たけど、アッシュが禁書を確保してたってことにその研究と障気についてをどうにかしようなんてことに、アルビオールのことも知らないだろうからな。だから俺達の事やシェリダンでどうこうだなんて事はそうそう分からないだろうとは思う)
(『そう聞きゃ大丈夫だって思いたいけど、本当にアニスの情報ってかなりモース達に有利に働いてたんだな・・・』)
(そこに関してはどうしてもな・・・)
・・・そうして沈黙が場を支配するアルビオールの中、心中で話すルーク達はヴァン達についての話をする所で出てきたアニスのことに複雑さを滲ませる。シェリダンの事もそうだが、他にもアニスの情報から様々に事態が良くないように動いたことに。
(『・・・なんか今までアニスの立場に同情といった感じになってたけど、アニスがスパイをしてたっていうのってどう扱うんだ?・・・少し言いにくいってのは承知で言うけど、両親の事を考えると逆にスパイとかやましいことを何もしてませんでしたってのは良くないと思うんだよ。特にアニスの今後の事を聞いた後だと、尚更によ』)
(あ~・・・アニスの両親に関して今のままだったら、下手すると前より最悪な状態になる可能性が高いってことか・・・話に聞くだけでも両親は借金を止められずにいたってのに、アニスの事を知ることがなかったら借金をしては返し、しては返しって事を躊躇いなく続けるだろうし・・・でもそれをやってしまうと、アニスがスパイだってバレて辛い目に合ってしまうけど、どっちがいいんだろうかこれは・・・?)
そんな時に『ルーク』がアニスの事をスパイと明かすべきではと口にしたことに、メリットとデメリットがどう選択しようが有り得るとルークは苦い口調で漏らす。アニスとその両親、どちらを優先した判断というかどういった考えを持つべきか決めるには難しいと。
(『気持ちは分かる。実際俺もどうしたら正しいだとかわかんねーからよ。ただなんつーか、アニスとその両親の繋がりって残すべきじゃねーんじゃねーかって思うんだよ。両親は当然でアニスも隠してはいるけど好きって気持ちがあるから家族としちゃそれが正しい筈なんだろうけど、それで残るのは借金と両親の自己満足にアニスが辛いって未来だけ・・・ならいっそもうかかわり合いにならないように断ち切るだったり、引き離すだとかした方がいいと思う。両親の為になるってのは考えず、アニスがある程度辛いことにはなってもだ』)
(両親の為にならないって・・・両親が借金をしても見捨てるってことか・・・?)
(『そうした方がいいって言う以前に苦境を辛いって思わない人と、辛いって思う人が一緒にいるのは良くないってのは前提としてあると思う。ましてや家族だからって理由で一緒にいてそうなったんだから、その大元が変わらないんなら・・・薄情でも何でも、まだマシな選択をした方がいい。それが両親が辛いって思わないなら尚更にってな』)
(両親が辛くないなら、か・・・確かに辛いなんて気持ち持ってるって感じは話した時も以降のことを聞いた時もしなかったから、また同じようなことになるよりはそうした方がいいかもな・・・)
だからこそ自分は両親を突き放す方がいいのではないかというよう考えたと苦々しく言葉にしていく『ルーク』に、ルークも苦々しくも否定を返せなかった。どう考えても辛い事になるのは両親ではなくアニスの方だからこそ、両親を見放すべきではと。









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