迷いと決意と揺れ

「だからバチカルで叔父上達の説得が終わったなら、ナタリアはバチカルに置いていくようにする。戦力的には多少ダウンするが、ザオ遺跡での戦いを見る限りアニスも含めて俺達との力の差は大きく開いている。正直な所としてヴァンもそうだが残りのシンク達との戦いは正直荷が重いだろうから、いっそいない方が回復に手間どられることが無くていいだろう」
「あぁ、まぁそう考えれば確かに危険から身を離すって意味じゃそうした方がいいか。ただそうなると出来るならシンク達と戦う時はロニール雪山での時のように師匠がいない状況でってのが望ましいんだけど・・・アリエッタやディストは捕らえるだけに済ませることは出来ても、シンクはやっぱり戦わなきゃいけないよな?」
「まず間違いなくそうなるだろうが、いつ奴らが仕掛けるというか、こちらを見付けてくるかは分からん。妥当に見るならそれこそどこかのセフィロトのある場所で待ち構えているだろうから、せめてヴァンがいないならマシだと思っていた方がいいだろうな」
そんなナタリアについてをまとめるようにアッシュが話をする中で、戦力としてという言葉にルークが反応して二人は真剣な様子で話し合う。これからの路程でどうしても避けることが出来ないであろうヴァン達との対峙の際の事を・・・


















・・・そうしてグランコクマにて一夜を明かしたルーク達は謁見の間に呼び出されて向かった。



「・・・来たか。では早速だがこちらから報告をさせてもらうが、先日キムラスカからの返答の手紙が来た。その中身についてだが、こちらにとっていい方向に転がった。中身としてはモースに内密の形での会合について真剣に行うように考えているという物であり、具体的にどういったような段取りにするかという中身に関してはあちらにある程度任せた上で、こちらにその手段について返事をくれといった手紙を送った。これで数日後には確実にファブレから返信は返ってくるだろう」
「あの~・・・ピオニー陛下はモースやキムラスカが罠を仕掛けてくる可能性は考えていないんですか~・・・?」
「やはり現状ではルークとアッシュの事を聞いたインゴベルト陛下達も、一概にこちらの言うことを聞く耳持たず一蹴するなんて出来んだろうと見てだ。特に今はジェイドから報告は受けているが、ザオ砂漠周辺にケセドニアやエンゲーブ周辺と外殻大地がこぞって降下している状態もあって、向こうとしては正直戦争をしても大丈夫という考えもそうだがモースやヴァンを信じる気にはならんだろうからな。少なくとも今なら向こうはこちらを罠にかけるなどというのは様々な面から見て悪手にしかならんと考えているはずだ」
「そうなんですか・・・」
・・・それで全員が玉座の前に立った所でピオニーは自信を覗かせるような堂々とした話をしていくのだが、アニスがおずおずと口にした問い掛けにまずないだろうとその根拠を語って返して納得させる。罠にかける理由はキムラスカにはないと。
「それだけではありませんよ、アニス。陛下の言われたことについてを補足するならモースに我々の考えや行動が伝わってないことがあります・・・もし彼に我々の事が伝わっていたなら預言の中身については信じないだろうというのはまだしもにしても、百歩譲って外殻大地の事や障気の事を仮に信じたとしたなら我々に任せるのではなく、自分の手の者に任せて事を進めようとして取り返しのつかないことをしでかしていた可能性はかなり高かったでしょう。前にも話に出たように彼自身がやったことの中には表沙汰になるだけで彼の地位が危うくなりかねない物もありますし、キムラスカからしても無視出来ないものは二人の件を始めとしていくつもある・・・ですからこそ二人やそれ以外の後ろ暗い事をキムラスカの気持ちなど考えることなく、闇に葬ろうとしてくる可能性を考えて向こうも内密に行動しているのだと思われますよ」
「だから私達を信じるかだったり、モースにどうするかだとかってことを決めるためにその時まではまず何もしないって事ですか・・・」
「そうなります」
そんなアニスに補足とジェイドが口にしたモースへのキムラスカ側の考え方についてに、アニスも複雑さを滲ませながら納得したと小さく頷く。









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