迷いと決意と揺れ
・・・そうしてしばらくしてグランコクマに戻ってきたルーク達だが、二つのセフィロトへの直行に加えてグランコクマへの強行軍を行ってきたことから一日休んでからピオニーと出会うことになり、宮殿で休むことになった。無論というか、ギンジもアルビオールの安全を確保した上で宮殿で休む形にしてだ。
「・・・なぁ、アッシュ。ティアの事に関していつか爆発するだろうとは思っちゃいたけど、どう思った?」
「予想は俺もしてはいたが、敵に対してあそこまで予想以上に腰が引けていたのは正直考えていなかった。ただあれは傷付く覚悟がないこともそうだが、強いと見える魔物が相手であったことも大きいだろう」
「魔物?」
「もっと言うなら言葉が通じるかどうかで相手を判断しているかだ。単純な話としてあいつは俺達が強行手段に出ないから俺達に我を通しているが、もし俺達が暴力を用いて従わせようとしていたならあんな態度をティアは取れていないだろう。まず間違いなく何も言わないままに我慢した挙げ句として途中で逃げ出していたか、俺達の暗殺を行うかのどちらかだったのは目に見えている」
「あぁ・・・力ずくで来てないから有り体な言い方として、ティアはこっちをなめてるとか甘く見てるみたいな感じになってるってことで、そんな風にしてくれない魔物が相手だからティアは怖がってるってことか。そしてティアは俺達ならそんなことはしないと見ていると・・・」
・・・それで宮殿のルークとアッシュのいる部屋の中。
ベッドに腰かけつつ対面式の形でティアについて話し掛けるルークにアッシュは魔物が相手だったからと根拠についてを語り、その中身に納得する。強気にこちらに来ているのは手を出さないと見ているからだと。
「そういうことだが、だからと言って暴力で言うことを聞かせるメリットなど無いに等しいどころかむしろデメリット以外にない。ナタリアやアニスも流石にそこまではとなることもあるだろうが、それこそ今の状況では俺達に暗殺を仕掛けてくる可能性が一気に高くなるだろう・・・今の時点ではまず間違いなくヴァンの方に寄るだろうからな」
「あぁ・・・というか俺達に味方をする理由の方がないか。精々それこそ師匠に会える可能性が俺達に付いていけば一番高いから一緒にいるだけだろうから、攻撃まで受けたってなったらな・・・」
「あぁ。そしてだからと言ってティアを外そうとしても、俺達の言うことを聞いてくれるはずなどないのは承知しているだろう・・・厄介だよ、本当に・・・」
その上でいかにティアが厄介かを語っていくアッシュだが、その表情には疲れが宿っていて心底からそう思っているのが滲み出ていた。
「・・・そういう風な事を聞くと改めて思ってしまうな・・・前のティアも含めてその考え方とか行動の仕方って自分本意っていうか、自分基準で見てる物に対して人に理解を求めるようなものじゃなかったんだなって・・・」
「そう、だな・・・ヴァンと話をするために自由な時間を狙って話をしに行くのではなく、真っ先に屋敷を襲ったことを考えれば決して人に何か理解を求めた行動だとはとても言えん・・・そして自分の中で完結させようとする。それが自分にとっても相手にとってもさも正解なのだと、理解させようとする努力や行動など見せることなく求められてようやくといったようにな・・・」
対するルークも同じような表情を浮かべて自身の感じたことを口にし、アッシュもまた更に疲れたようになりながら同意する。ティアの自分本意さがいかなものなのかに厄介なものなのかと。
.
「・・・なぁ、アッシュ。ティアの事に関していつか爆発するだろうとは思っちゃいたけど、どう思った?」
「予想は俺もしてはいたが、敵に対してあそこまで予想以上に腰が引けていたのは正直考えていなかった。ただあれは傷付く覚悟がないこともそうだが、強いと見える魔物が相手であったことも大きいだろう」
「魔物?」
「もっと言うなら言葉が通じるかどうかで相手を判断しているかだ。単純な話としてあいつは俺達が強行手段に出ないから俺達に我を通しているが、もし俺達が暴力を用いて従わせようとしていたならあんな態度をティアは取れていないだろう。まず間違いなく何も言わないままに我慢した挙げ句として途中で逃げ出していたか、俺達の暗殺を行うかのどちらかだったのは目に見えている」
「あぁ・・・力ずくで来てないから有り体な言い方として、ティアはこっちをなめてるとか甘く見てるみたいな感じになってるってことで、そんな風にしてくれない魔物が相手だからティアは怖がってるってことか。そしてティアは俺達ならそんなことはしないと見ていると・・・」
・・・それで宮殿のルークとアッシュのいる部屋の中。
ベッドに腰かけつつ対面式の形でティアについて話し掛けるルークにアッシュは魔物が相手だったからと根拠についてを語り、その中身に納得する。強気にこちらに来ているのは手を出さないと見ているからだと。
「そういうことだが、だからと言って暴力で言うことを聞かせるメリットなど無いに等しいどころかむしろデメリット以外にない。ナタリアやアニスも流石にそこまではとなることもあるだろうが、それこそ今の状況では俺達に暗殺を仕掛けてくる可能性が一気に高くなるだろう・・・今の時点ではまず間違いなくヴァンの方に寄るだろうからな」
「あぁ・・・というか俺達に味方をする理由の方がないか。精々それこそ師匠に会える可能性が俺達に付いていけば一番高いから一緒にいるだけだろうから、攻撃まで受けたってなったらな・・・」
「あぁ。そしてだからと言ってティアを外そうとしても、俺達の言うことを聞いてくれるはずなどないのは承知しているだろう・・・厄介だよ、本当に・・・」
その上でいかにティアが厄介かを語っていくアッシュだが、その表情には疲れが宿っていて心底からそう思っているのが滲み出ていた。
「・・・そういう風な事を聞くと改めて思ってしまうな・・・前のティアも含めてその考え方とか行動の仕方って自分本意っていうか、自分基準で見てる物に対して人に理解を求めるようなものじゃなかったんだなって・・・」
「そう、だな・・・ヴァンと話をするために自由な時間を狙って話をしに行くのではなく、真っ先に屋敷を襲ったことを考えれば決して人に何か理解を求めた行動だとはとても言えん・・・そして自分の中で完結させようとする。それが自分にとっても相手にとってもさも正解なのだと、理解させようとする努力や行動など見せることなく求められてようやくといったようにな・・・」
対するルークも同じような表情を浮かべて自身の感じたことを口にし、アッシュもまた更に疲れたようになりながら同意する。ティアの自分本意さがいかなものなのかに厄介なものなのかと。
.