迷いと決意と揺れ

「ですので一先ずはケセドニアは心配はいらないでしょう。後はタタル渓谷にザオ遺跡のセフィロトに向かう事が重要ですが、こちらのダアト式封呪の扉はバチカルより連れられて以降に開かされたとのことですからイオン様の体調の心配は必要ありません。ですのでこの二つのセフィロト巡りはさっさと終わらせましょう」
「あぁ、分かった」
それで後顧の憂いもイオンの体調も問題ないから行くことを口にするジェイドに、ルークは頷き返す。早くセフィロト巡りをしようと。


















・・・それでアルビオールに乗り込みまずはと向かった先はザオ遺跡であった。これは特にどちらからでも問題はないので、ならザオ遺跡からでいいかというジェイドの決定からである。

それで特に反対もなかった為にアルビオールはザオ遺跡の近くに着陸し、一同はザオ遺跡の中へ入った。






(『さてと・・・あそこがセフィロトへの入口か』)
(あぁ・・・そして前の通りなら・・・いたか)
・・・そうして遺跡の中を歩いていき、順調に奥に進んでいく中でセフィロトの入口前に前も戦った魔物・・・ティランピオンの姿を見付けて、気を引き締める。
「あれは・・・!?」
「・・・どうやらただでは通してくれないようですね。皆さん、準備はよろしいですか?」
そんなルークとほぼ同時にナタリアがティランピオンの存在に気付き声を上げ、ジェイドの緊迫感のある言葉に一同は真剣な様子で構えを取るのだが・・・
(『明らかに腰が引けてるな・・・』)
(見ただけで強そうな魔物だって分かるから、警戒っていうか俺らに押し付けたいんだろうな・・・)
・・・その中で一人杖を握りつつも戦意がほとんど見えずに体を引いてるようなティアの姿に、ルーク達はまた前に感じたような思いを抱きながら前へと走り出す・・・


















・・・そうして少しの間戦うことになるのだがアニスとナタリアは以前の戦いほどの経験が無かった為に経験不足が目立ってはいたが、その分のリカバリーというかルークにアッシュにジェイドの三人の実力の高さから特に苦戦することはなくティランピオンは倒されることになった・・・のだが・・・



(『空気わりーなー・・・』)
(ナタリアは勿論だけど、アニスも大分キテるんだよな・・・それだけやっぱりティアの動きが悪いなんて話じゃなかったのもあるけど・・・)
・・・戦闘自体は無事に終了した。だがティアの動きが悪かったなどというどころではなく、ほとんど相手に近付くこともなく譜歌も敵を刺激しないようにか攻撃の為の物は歌わなかったのだ。
そんな以前にもましての臆病風に吹かれたティアの態度にナタリアもそうだがある程度近付いて戦えるアニスも少し危険になった時に援護をと言ったのだが、ティアがやったことは注意を逸らすような攻撃もなく回復のみ・・・そんな行動に対して戦闘が終わったことからティアに対して苛立ちを二人は浮かべ、その当人は不機嫌そうにしながら自分は何も悪くない・・・といったような強がった自己弁護の姿を見せているため、ルーク達の空気が悪くなっているのだ。
「・・・もういいです。ティア、貴女は戦わなくて構いません。イオン様と共に戦闘の場面になったら下がってください」
「っ、いきなり何を言いますのジェイド!?どうして戦わなくていいなどと・・・!」
「そうですよぅ、大佐ぁ・・・!」
そんな時に眼鏡を押さえつつジェイドが仕方無いといった言葉を口にすると、ナタリアだけでなくアニスも何故と食って掛かる。ティアを甘やかすのかと言わんばかりに。









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