迷いと決意と揺れ

「ねぇ・・・無理だって風になるのは分かってるけど、どっちかだけでも外すことって出来ないの?」
「分かっているだろうが、無理だ。ティアはヴァンに会うまではどうあっても俺達に付いて回るだろうし、ナタリアもキムラスカの件をどうにかするまでは確実に俺達から離れようとはしないのは目に見えている。どちらかだけでもどうにかしたいならキムラスカの事を片付けることが最低限必要だ」
「それでナタリアにはキムラスカに戻ってもらおうって事なんだろうけど・・・謡将の事をどうにかするまでバチカルには戻りませんって言って、素直に聞くとはとても思えないんだけど・・・」
「ナタリア自身はもう細かいことだと気にも止めてないだろうが、そもそもは勝手にバチカルを出てルーク達に付いてきている身だ。例え父上や叔父上達のやってきたことをあげつらってかわそうとしても、勝手な行動をしてきたことにかわりはない。それを口にされればさしものナタリアも簡単にはどうとも言えんだろう・・・それまでは辛抱してもらわねばならんが、今の状況はまだ下手にヴァンやモース達の元に飛び込まれるよりはマシと思って我慢する以外にない」
「あ~・・・やっぱりそうなるのか~・・・」
その上でアニスがどちらかだけでもと口にするのだが、現状は無理でしばらく我慢するしかないとアッシュが返してきたことに力なくうなだれるしかなかった。まだ少なくともバチカルに向かうまではナタリアとティアの二人を共に連れていかねばならないということに・・・


















・・・そんな嫌な雰囲気の漂う中でルーク達は一晩をシェリダンの宿で過ごしたのだが、いざ出発の段となってやはり二人の空気が一触即発という様子であったことに周りの面々もピリピリした空気になった。

ただそれでその空気が収まるまで待つことなくアッシュが出発を口にしたことで、一先ずは何も言うことはなく次の目的地であるケセドニアに向かうことになった。タタル渓谷にザオ遺跡のパッセージリングに挟まれたケセドニアはどちらを降ろすにしても、次かその次には外殻大地の降下に巻き込まれるということから、代表のアスターに先に説明及び漆黒の翼に話を聞きに行く為にだ。



(『・・・ホント、最悪な空気だな・・・誰一人として口を開こうとしやしねー』)
(むしろ口を開いたらナタリアがティアに対して文句への同調やらを我先にと欲しがるだろうな・・・そんな風な空気があるから、誰も口を開こうとしないんだろ。まぁこれに関してはどっちもどっちな部分はあるけど、やっぱりティアが変わらないってのが大きいんだよな・・・)
(『折角市長から言われたことも無駄に終わっちまったってことか・・・』)
・・・そうしてアルビオールの中に場面は移るのだが、その中は重い沈黙しかなく誰一人として明るい表情を浮かべることなく口元を開こうとすらせずに座席に座っている。
そんな中でルーク達は心中で会話を交わすのだが、やはり空気が空気なだけに二人についてにどうしてもなる上、決して明るい中身にはならない。
(『・・・せめてケセドニアで何かいいことっつーか、空気が変わることが起きてほしいな・・・このまんまだんまりのまんまじゃ辛いしよ・・・』)
(だな・・・)
だからこそ二人の会話も弾まず、ただいい展開になるようにと思うような話にしかならなかった。外部的な何かを期待したいと言った気持ちを持つ形で・・・


















・・・そうして極めて重い空気の中でアルビオールはケセドニア近くまで来て、ルーク達はアルビオールより降りてケセドニアの街中に入っていった。重く張り詰めた空気から解放されたことに、ティアとナタリア以外が心なしか安堵するよう・・・










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