迷いと決意と揺れ

「そう言ってくれんならいいって言いてぇけど、お前らとしちゃオッサンと戦う覚悟もそうだけど説得出来るかどうかみたいなことって考えてんのか?まずイオンは難しいだろうからアニス、お前は?」
「えっ!?えっと・・・やっぱり説得なんて無理だろうな~って思う気持ちの方が強いよね~・・・やってることがやってることだし、そもそもやろうとしてることがアッシュの事からバレるだろうから降伏しますだなんて弱気な姿勢を取るんだったら、始めから行動を起こしてなかっただろうしさ・・・」
「だろうな。俺もそう思う」
ただまだ話は終わらないとヴァンに対する考えについてをまずはとアニスにルークが聞くと、慌てたようになりつつも自身の考えを気まずそうに口にして行く答えに一つ頷く。
「・・・イオン、お前は?」
「・・・出来ることならしたいと思いますし、そうなってほしいという気持ちはあります。ですがそうならない可能性の方が高いというのは今までで十分に承知していますし、ヴァンが剣を向けてきたなら・・・僕にはもう、彼を力ずくでも止めるだけの手段はありません・・・出来ることがあるならもしヴァンがそうなった後に生き残ったとしたなら、彼の配下も共に死罪をギリギリ回避させることが出来るかどうかぐらいが関の山だと思います・・・少なくともそうなったら、ティアが望むような自由の身であり彼の名誉を一切損なわない処置など出来ないでしょう・・・」
「・・・覚悟は出来た、のか?」
「・・・少なくとも剣を向けてきた場合に関しては考えなければならないと思いました・・・と言ってももし説得に応じた場合はむしろどうすればいいか分からなくなるかもしれませんが・・・」
「ま、それでいいだろ。後はそれをティアには悟らせないようにすりゃいい・・・戻ってきた時にどんな面をしてるかなんてわからねーが、多分ナタリアも含めて気持ち的にあいつは周りに気を使うような余裕なんてないだろうしよ」
「「・・・」」
続いてイオンに視線と確認を向けるルークに苦い想いを浮かべながら自身も気持ちはある程度までは固まっているというように言い、それでいいだろうと肯定する中で二人が戻ってきた時の事を口にするルークに何とも言いがたげな沈黙を目の前の二人は浮かべるしかなかった。自身らも心の内は荒れているが、それも含めてもティア達も荒れているのだというのをルークが口にしたことに・・・



















・・・そうして二人が沈黙して宿の受付前で待つようにしてしばらくした後、宿にジェイド達が戻ってきた。そしてその時にティアとナタリアの様子は決して上機嫌と呼べるような物ではなく、特にナタリアは苛立ちを隠そうともしないままに誰にも何も言わず宿の部屋に荒々しく入っていった。そしてティアもそれほどではないが、同じようにだ。
「・・・一人部屋を何個か取っておいて正解でしたね。あのような様子になるのが目に見えていましたから」
「何となくあの姿を見て予想はつくけど、いい結果にならなかったみてーだな」
「間違いではありませんね。大方予想はついているでしょうが、ナタリアが態度を改めるようにと言って詰めようとしても自分の勝手だと言うティアの平行線のままで話は進み、仕方無いと見た私達二人でもう終わりにするように言ってこちらに戻ってきました。あれ以降続けても何の進展もなかったどころか手がどちらかから出るのは目に見えてましたから、あそこで止めて正解だったと思います」
「やっぱそんなとこか・・・」
その様子を見てどうかと確認をするルークにジェイドが呆れを滲ませこうなったと返すと、ルークもまたタメ息を吐きたそうな様子で納得した。まず見ただけで良くない結果が分かっていた為、だろうなという気持ちを盛大に滲ませ。









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