迷いと決意と揺れ

・・・それで一同はイエモン達による説明を受け、機器の使い方についてを聞いた後に早速と用件を達成させるために場を後にしていった。


















「・・・ここがメジオラ高原のセフィロトへの入口なのですか?見たところ妙な紋様の壁みたいな物しかありませんが・・・」
「これはダアト式封呪により封じられた扉だ。今まで入ったセフィロトに関してはもう既に導師が解除していたから何もなかったが、本来ならこのように入口は不審者に見付からないようにと塞がれている。これは万が一にでもパッセージリングに何か妙な事を仕出かしかねない者が出てこないようにというセキュリティであり、現状でこの扉を開けるのはダアト式譜術を使える導師しかいない」
「ではそういうことなら早速お願いしますわ、イオン!」
「はい、では・・・」
・・・それでアルビオールによりメジオラ高原の中のセフィロトの入口前まで来たのだが、ナタリアがダアト式封呪の扉に怪訝な様子を見せた為に本来はこういうものだとアッシュが説明し、納得した勢いのままにイオンに言葉をかけるとすぐに扉の前に立って両手をかざす。
‘パキィンッ’
「・・・うっ・・・」
「どうしたのですか、イオン!?」
少ししてイオンの周りに譜陣が浮かび上がり、扉が音と共に消え去る。だがそのすぐ後に辛そうな声を漏らして地面に膝だちの形で崩れ落ち、ナタリアを始めとしてアッシュを除きイオンの周りに集まる。
「・・・心配はいりません・・・少し休めば治りますから・・・」
「一体何があったんですか、イオン様ぁ・・・!?」
「どうやら僕の体はダアト式譜術を使うようには出来ていないらしく、このように一度使うだけで著しく体力を消耗してしまうんです・・・」
「それってまずいじゃないですかぁ・・・!」
「ですから少し休めば大丈夫ですので・・・」
「あぁ。だから取り敢えずは誰か導師に付き添ってアルビオールの中にいてやってくれ。中には俺と何人かだけで行けばいい」
「っ・・・そう言えばアッシュ、あんたイオン様がこうなるって知っててこうさせたの・・・!?」
イオンは青白くなった顔で辺りを見渡しながら大丈夫と言いアニスが会話をする中でアッシュが口を挟んだことに、ハッとした後にこの事を言わなかったことへの批難の目と声を向ける。
「知っていたのは事実だが、導師以外にこの役割が務まらんのもまた事実だ。そしてだからこそこの扉を開くためにヴァン達は導師の身柄を求めて動いていたのだが・・・このダアト式封呪の扉に関しては俺達が求めてか、ヴァン達が求めて開くかのどちらかでしかない。そして今俺達が扉を開くことをしなかったなら事態は進まんどころか、取り返しのつかない事態になりかねん。これに関しては道中は気を使うことは使わせてはもらうが、導師に呑んでもらわねばならんのだ」
「けど・・・」
「アニス・・・彼の言う通りです。僕がダアト式封呪の扉を開かなければセフィロトへは入れず、パッセージリングの操作は出来ません・・・それなら僕が我慢して動くのは必要なことです」
「イオン様・・・」
その視線に怯むことなくアッシュは協力してもらわねばならないと口にして行き、食い下がろうとしたアニスにイオンが首を横に振り微笑を浮かべながら返す様子に複雑そうに表情を歪めた。イオン自身がちゃんと考えているからこその行動だということに。









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