思いの在り方と思想の在り方

「・・・さて、話を戻すがそちらに集まっていただいたのには理由がある。今後の方針をどうするのかを決めることもそうだが、キムラスカからと言うよりはファブレから手紙が届いたことを報告するためだ」
「ファブレから?どうしてキムラスカからではないのでしょうか?」
そんな空気を少し緩めたピオニーが本題だと手紙が来たことを口にするのだが、ナタリアが何故そんな言い方をするのかと首をひねる。
「その辺りに関してはあちらもこちらのやり方に倣ってといった所だろう。現にその中身に関してだが、色々と信じがたい事ばかりな中身ではあったがモースに話をさりげなく遠回しに聞いてみれば、全てが全てを嘘と断じるには難しいといった情報が出てきたため、インゴベルト陛下との内密の協議の元でしばらく時間稼ぎをして戦争にならないように動くから、どうにかしばらくはこのままの形で手紙のやり取りを続けられないか・・・といった物だった」
「・・・つまりお父様達もファブレを介して手紙を出す形で、モースに秘密にしながらこちらの情報を待ち望んでいるということなのですね」
「そういうことだろうが、ならと意気込んでさっさとバチカルに行けばいいと言うのは流石に事を急きすぎている上に罠である可能性も決して否定は出来ん。だからそちらがしばらく行動するまでの間で手紙をもう一回か二回往復させた上で、モースに内密の形でインゴベルト陛下までは行きすぎにしても、ファブレ公爵との会合を取り次げるように出来ればキムラスカとの戦争回避が出来ると俺は見ている」
「・・・何故叔父様なのでしょうか?」
その理由は向こうも乗り気だからだと語るピオニーにナタリアも納得する中、話に出てきた公爵との取り次ぎについてにインゴベルトではないのは何故と首を傾げる。
「単純な話としてルークとアッシュの二人の姿を見せられれば、ヴァンのやったことが決して嘘でも大袈裟でもないということを向こうに証明出来るからだ。だがだからといってその証明の為にインゴベルト陛下が直々に顔を見せるのは様々な意味でどういうことかとなり、向こうがまずはと出してくるのは立場的な事もあるが親ということもあり公爵以外に適任がいない。それにどこで会うかという話にするにしてもバチカル城内でとなれば、モースがいつその場に現れるか分からんという危惧がある・・・だからこそインゴベルト陛下よりはまだ外出してもおかしくない立場にある公爵が来るだろうという訳だ」
「そ、そういうことなのですか・・・」
そんな声にピオニーがこういうことだというように話を進めると、ナタリアは軽く感嘆の様子を浮かべていた。自分はそんなことまで考えられていなかったというよう。
「ただそれもお前達とちゃんと協力しあってこそだ。だから今からどういう風にそちらが動き、こちらがどうすればいいかを話し合うぞ」
そんな反応にはつっこむことなくピオニーが真面目にこれからについてを話すと言うと、ルーク達もまた揃って頷く。これからの事をちゃんと決めようと。









行く末を見定める目は曇り淀んだものかどうか



見えないままに見えるとうそぶくことは望まれる事ではない



足元すら見えない状態のままではどこにつまずくかは分からない・・・






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