思いの在り方と思想の在り方

・・・そうして三人は色々と話を交わしていき、翌日になった所で謁見の間へとルーク達は向かった。






「さて・・・ゆっくり休めたかと、本来なら穏やかに話を進めたかった所だが・・・ティア。お前は昨日アルビオールの操縦士であるギンジに自分をヴァン達の元に連れていけと強く口にしたそうだが、間違いはないか?」
「っ・・・!」
・・・そうして謁見の間に来た一同だが、そこで早速と冷やかな声と目で確認を向けてきたピオニーにティアはたまらず息を呑んだ。明らかにピオニーの機嫌が良くないと見て分かる様子に。
「・・・返事はどうした?」
「っ・・・そ、それは確かに事実です・・・ですが私は、どうしても兄さんと話がしたくて・・・」
「話がしたかったらそこまでしたかったという気持ちはまぁまだいいだろう。だが一人で行こうとしたのはいただけん。例えジェイド達から反論があったからとは言えだ」
「それは、大佐達が私の意見を聞いてくれないからです!兄さんなら話をすれば分かって・・・!」
「分かってくれると信じる、いや信じたいという気持ちは否定しない。だが考えたくないと思ってはいてもあちらがお前の話を拒否に否定してくる可能性を考慮していないその有り様では、いくらお前が大丈夫だと熱弁しようとした所で信用など出来ん。ハッキリ言って絵に描いた餅以下の代物の言葉だ」
「っ!?」
ピオニーが重くした声と目で先を促したことによりティアは肯定を返してから話をしていくのだが、見通しの甘さが際立つと切って捨てる容赦のない言葉に愕然とした表情をティアは浮かべた。大丈夫・・・その言葉だけで全てを押し通すことなど出来ないと、それだけしか持ち合わせていないティアにピオニーの説得材料などないと理解させられる言葉に。
「・・・今回の件は流石に看過出来なかったからこうして俺も口出しをさせてもらったが、一応お前はあくまで協力者といった立場にあるから今回はここまでで済ませておいてやる。しかし次に似たような事をしたという話が耳に入ったなら、導師から許可をもらってお前を獄に繋ぎ事が済むまでは外に出すようなことはしないようにする」
「なっ・・・!?」
「成功しか考えてないお前から言わせれば暴挙もいいところという気持ちになるかもしれんが、アルビオールが失われるのはアッシュ達にとってもだがこちらからしても致命的になりかねん・・・説得がしたいならアッシュ達は遠からずヴァン達と会うことになるだろう。その時になるまで我慢しておけ・・・その時間すら待てんというなら、牢獄で結果を待つだけの時間を過ごさせるぞ」
「っ!・・・分かりました・・・大人しく彼らに付いていきます・・・」
そして更に次についてがあったならにその処置が納得が出来ないなら牢獄に繋ぐと強く迷いを見せずに言い切るピオニーに、ティアもそれは嫌だと諦めたようにうなだれるように頷くしかなかった。ヴァンとの直接の話し合いが出来ないのは嫌だと。



(『ピオニー陛下もよくやってくれるな・・・ジェイドからのお願いなんだろ、あの態度?』)
(それもあるんだろうけど、ピオニー陛下自身の気持ちもあるとは思う。陛下としてもティアのせいで全部おじゃんになる可能性ってヤツをどこかで感じてると思うしさ)
・・・そしてそんな光景を端で見ていたルーク達はこのやり取りは仕組まれた物であるが、決して嘘ではない気持ちもあると話していた。ジェイドから言われたことをする傍ら、ピオニーもティアに対して信じられないといった気持ちを抱いているのだと。









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