思いの在り方と思想の在り方

・・・そうしてアッシュが超振動を用いてシュレーの丘のパッセージリングに文字を書き込んでいき、それが書き終わった時にルーク達は足元に違和感を感じた。
「これは・・・?」
「おそらくこれは外殻大地が切り離されたという事から来る物なのでしょう。と言ってもあまり時間的に長居をする理由もありませんし、ここを出て早くグランコクマに向かいましょう。もうやることも特にありませんし、早く戻って今後の事を陛下と協議しに行きたいですからね」
「えぇ、そうですわね」
一同が何とも言えない感覚を味わう中でジェイドが今はそれを気にする時間ではないと早く戻ることを口にし、ナタリアもその声に頷いた。






・・・そうしてセフィロトを出てアルビオールに乗り空を飛ぶ中で下の大地を眺めていくのだが、本当に大地が切り裂かれたように下にゆっくりずれ落ちていく様子を見た面々の様子は信じられないものを見るような物へと変わっていた。
「・・・あそこは、セントビナー・・・すみません、皆さん。どうやらセントビナーも降下に巻き込まれているようですから、このまま一路グランコクマに向かう前にセントビナーに寄ってよろしいでしょうか?このまま放っておいたなら元帥達でも住民の方々の説得が難しくなるほどにパニックになりかねませんので」
「そういうことでしたら構いませんわ。住民の皆様の安定を取るのは大事ですもの」
「そう言うことですのでギンジ、セントビナーへお願いします」
「はい、分かりました!」
そんな中で遠目にセントビナーも降下に巻き込まれてるからというのを見てそちらに向かいたいというジェイドに、ナタリアもギンジも快く了承を返す。
「・・・今はこうしてアッシュがいてうまく行動が出来てたからいいけど、もしそうじゃなかったら今頃は下のパダン平原で戦争は始まってたのかな・・・」
「だろうな。あのオッサンの予定通りに行ってたとしたならもう戦争は始まってただろうし、そんなに遠くない内に今みたいな感じじゃなくてアクゼリュスみたいに大地がガラガラ砕け落ちてってキムラスカにマルクトにダアトが揃って右往左往する中、オッサンが自分の手の内の奴らを引き連れて悠々と計画の遂行・・・だなんて流れになってただろうな」
「っ・・・もしそんなことになっていたら、ヴァン達を止められたのでしょうか・・・?」
「十中八九とかそんな感じじゃなく、無理以外の何物でもなかったんじゃねーか?言ってみりゃその時は俺達みたいに事実を知ってて動く奴がいねーんだから、外殻大地の事について知らねーマルクトは勿論だけどキムラスカにモース達も中途半端にしかその事を知らねーから、尚更にどういうことだって怖がって縮こまって何もしないってのがオチだったろうって思うぞ。モースはあのオッサンに指示を出して不慮の事故が起きても自分が死ななければとか思うだろうけど、そのオッサンは理由を知ってるけど知らんぷりして適当に計画を並行して動いて結果的に誰もオッサンの行動は止められませんでした・・・みたいな感じにな」
「「「「っ・・・!」」」」
そんな時にアニスがふと呟いた声を拾ったルークが肯定を返すとイオンが不安げにヴァン達を止められたかどうか更に聞くが、まず無かっただろうとその根拠を語った中身に二人だけでなく周りの面々もハッキリと息を呑んだ。その中身もだが、決して否定を返せる要素が無かったことに。









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