思いの在り方と思想の在り方

「じゃあ早速出発しますか、大佐ぁ?」
「タルタロスの兵達に話をしてからになりますけれどね。話はまだ兵達に通していませんし、流石にマルクトの軍服を着たままこのシェリダンにいてもらうのは危険ですからその辺りも言い含めないといけないでしょうからね。この後説明に向かいますので、それが済み次第に出発しましょう」
「分かりました~」
アニスはそれで早速と出発についてを聞いてきてジェイドが少しの時間の後にと言い、反対する理由もなかった為にすぐに了承した。






・・・そうしてジェイドがアッシュと二人でタルタロスに向かうことになり、ルーク達はアルビオールの前で待機ということになって各々が思い思いに過ごしていた。
(『・・・予想はしちゃいたが、やっぱりティアは何もしなかったのか・・・まぁアルビオール関連で何か出来ることなんてあるとは思っちゃいなかったけどよ』)
(単に本当にボーッとしてたってくらいだったんだろうな・・・自分がやることなんて無いというか、何かする理由もないってな・・・)
そんな中でアルビオールを見るだけのフリをしつつルークは心中で『ルーク』と会話を交わす。自分達がベルケンドに向かっている中、同じようにアルビオールをぼっと眺めている中でティアが本当に何もしていないだろうという事に。
(『・・・前にオッサンがいなくなれば脱け殻になるんじゃみたいな事を話したけどよ・・・オッサンがいてもあいつは何をしたいのが良くわかんねぇし、何をするつもりでいるんだろうって思うんだよな・・・』)
(あ~・・・本当に師匠と一緒にいられりゃいいみたいにだけしか考えてなさそうってことか・・・師匠に善人であってほしいってのは前提にはしてもそこでどんな仕事をしたいかだとか、どんな風な事をするべきかとかってことを・・・)
(『そこんとこは話を聞く限りの感じのお前の方のティアでも正直、そんな変わりなかったんじゃねーのか?さも預言の為とか色々と能書きを口にしても、結局はオッサンがいてこそに集約されてる・・・そしてオッサンがいなくなったからお前にその想いを向けたんじゃねーのか?オッサンっていう自分の中で処理しきれなかった上に隠してた気持ちとか全部を押し付けて、自分が楽になるためによ』)
(楽になる、か・・・)
その中で『ルーク』がふと思ったというようティアのヴァンに対する考えを口にしていくのだが、その推測を聞いてルークは自然と声が重くなる・・・その推測が正しかったならティアはヴァンに対しての気持ちを結局は決着をつけた後も振り切れていなかった上に、黙ってずっと隠して抱え込んだまま自身に向けてきたのだということになると。
(『・・・あくまでも俺の考えでしかねぇから、正しいなんて確定はしちゃいねぇ。けど失っちまったもんが大きければ大きい程、それを取り戻すとか埋め直すみたいな事は難しいっていうのは分かる。そしてティアはそれを見せないようにずっと動いてった。弱味にならないようにだとかって気持ちもあんだろうけど、そんなことから誰かに頼ることが出来るはずもないって状況を作り上げるって形でだ。だから結果的にオッサンへの気持ちを振り切ったように見せてはいたけど、それはいつか戻ってくるお前を待つって目的を見出だすって形で自分の中で失われたもんを補完か誤魔化しかをしていたんじゃねーか・・・今はそう思うんだよ』)
(・・・そしてこっちのティアはそれ以上の事が有り得るってことか・・・)
『ルーク』もその推測の重さに辛さを感じながら考えを続けて話し、だからこそこちらの方のティアにも有り得る事だとルークも感じていた。ヴァンがいなくなればそれこそティアが良くない意味でどれだけの事になるか分からないと。









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