思いの在り方と思想の在り方

「納得してくれたならいいと言いたいが、この件に関してはあくまでも俺の独断で決めたことでありキムラスカの上層部にバレるようなことになれば問題になる。ナタリアは特にという話になるが、ここでの話はあくまでここにだけで納めてくれ。ジェイドには一応話をするようにはするが、あちらの三人も含めてそれ以外の誰かに言うようなことをするな。禁書の事を優先しなければならないからこそ、後でスピノザの事が明らかになって俺達が予めその事を知っていて黙っていたなどとなれば、スピノザだけでなく俺達もどうなるか分からなくなるぞ」
「っ・・・秘密を知る者は少なくするべきである、ということですか・・・」
「そう言うことだ。だからこの話は変にかき回すような何かが起きなければ、スピノザに俺の事は黙ってくれ。いいか?」
「「「「・・・」」」」
アッシュはそこで更に念入りにとジェイドを除き話をしないようにするべきだと言い、その意味を理解したヘンケンの言葉に重ねるようにいいかと問い掛けると場にいた面々は重い表情ながらも異を唱えるような気配を見せることはなかった。やはりスピノザの事もそうだが、自分達も危険に見舞われる可能性が高いと聞き。






・・・そうして少しの間の沈黙の後、アッシュが後は気を落ち着けるようにと解散を口にしてルークを残して他の面々は退出していった。
「・・・うまくいったな」
「あぁ・・・後は三人が落ち着いてくれれば特に言うことはない上で、ナタリアにアニスもあれなら下手に何やら切り出すことはないだろうな」
それでルークが頷きつつアッシュに話し掛けると、その通りだというように頷き返す。
「ただ気になるのはスピノザがあんな風になったからと言っても、素直に頷いてくれたことだけれど・・・」
「そこはやはりヴァン達の企みについてを聞いたことが大きいだろうな。あくまでヴァンにとってスピノザはベルケンドにおいての現地の協力者という程度で、心酔して従ってくれるほどの存在ではなかったことから何も言わなかったのだろう。確かに能力自体はありはするが、スピノザは仲間に対する気持ちとヴァンに対して協力していることに後ろめたさを感じていたのは端から見ていれば明白だったから、もしもの時どころか計画を明かした時点でいつ自分が裏切られるか分からない・・・と言った気持ちがヴァンの中に芽生えただろうことから話をして引き入れる事をしなかったのだと思うが、そこを逆手に取らせてもらったというわけだ」
「あ~・・・確かにそこまで知らされてたらスピノザが師匠にずっと協力してたとは思えないから、そこを言えば迷いはしてもそうなるか・・・」
ただとルークはスピノザの聞き入れの良さについての疑問を口にすると、正確にその内心を見抜いて話をしたとのアッシュにそれなら確かにと言うように納得する。
「何はともあれあの様子ならスピノザがヴァン達に情報を流すことはないだろうし、シェリダンでの前に起きたような悲劇はまず避けられるだろう。ヴァン達に俺達の動きを把握されてない以上はシェリダンに何かあるのではと疑うような事から行動は起こさんだろうからな」
「ただその分、まだワイヨン鏡窟にいるにしてもキムラスカやモース達の事が露呈したなら師匠達は俺達を追ってくるだろうってのもそうだけど、どこか・・・アブソーブかラジエイトのどっちか辺りで待ち受けてくる可能性は高くなるだろうな」
「妥当だな。俺達の目的に奴らの行動を考えれば最終的にぶつかる可能性が高い場所はまずその二つになるだろう」
そんなスピノザについての安心と話題をヴァンに変える二人は、ルークがセフィロトの中でも重要な二つのゲートでの対峙が有り得ると言うとアッシュもまた頷く。そうなるのはまず間違いないだろうと。









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