思いの在り方と思想の在り方

「スピノザはそうなることが分かっていたからこそ、そこの二人にも誰にも言わずにヴァン達に従い協力してきた・・・というよりは協力せざるを得なかったと言った状態を続けていたそうだが、そうして現れたのが俺とルークで動揺を隠せなかったそうだが、それも二人で話してようやく俺達に協力するというように考えてくれたんだ」
「あの・・・なら何でスピノザさんはそんなに表情が暗いんですか?協力するというなら、もう少し明るい表情になると思ったのですが・・・」
「これに関してはスピノザが顔に出してしまったからという部分もあるが、特に二人に自分の事を知られたくないといった気持ちからだとのことだ。本来なら俺も協力してくれるなら胸の内に納めておいてもいいかと思ったが、一目見て黙っていられるかが怪しいと思った上で話をしていく内に話をした方がいいとなったからだ。とても黙っていられるかどうか分からんということに加えて、それならいっそ言ってしまった方が踏ん切りがつくのもそうだが割り切れるだろうとだ」
「割り切る、ですか・・・ですがスピノザさんはまだそうはなってなさそうというのもそうですが、二人は何とも言えないといった様子ですが・・・」
だからこそ黙っていたが話し合いの末に色々と決めた結果とまとめるように話すアッシュだが、イオンは三人の様子を見ながらそう簡単な事じゃないんじゃないかと眉を寄せる。
「そこに関しては時間をかけてそちらで解決してもらうしかない。それに俺としては誘拐の手引きであったりヴァンに協力していたことに関しては、スピノザ達からバレるようなことをしさえしなければ俺からは事が済めば以降は蒸し返さないと言うように話をしたから他に不安要素はないはずだ」
「なっ!?ど、どうしてそんなことを勝手に決めたのですか!?」
「ハッキリ言ってしまうなら土壇場で俺達を裏切るような事を避けるためだ。ヴァン達の計画に関して全てを聞いていなかったことを確認してその全貌を聞かせた後、ヴァン達一味以外の者がその時に生かされる可能性がほとんどないことを話すと、顔色を青くしながらこちらに協力すると言ってくれた。だがそれでヴァン達のように後で全てが終われば用済みだから始末されるのではないかと疑われ行動されるのを避けるため、こちらから協力してもらう対価は何かと考えそうすることにしたというわけだ」
「そんなことを勝手に決めて・・・!」
「勝手に決めたということに関しては謝ろう。だが今最も重要なのは禁書の研究に着手してもらうことであり、後の憂いを取り除く事だ。それに一応言わせてはもらっているが、俺達に勝ち目がないと見たから自身や二人も含めた安全を保証にヴァンへ求めて裏切るような事をしたなら容赦はしないと伝えてある。その時はもう完全に敵となるだけだとな」
「そんなことには絶対にさせません!命惜しさにそんなことをして生き残った所で、我々には後悔しか残りません!」
「はい・・・そうならないよう、私達もスピノザとちゃんと向き合いたいと思います」
「・・・二人とも・・・」
イオンの声に仕方無いと言いつつナタリアの批難の声を受けながら対策やらをスピノザと話しているとアッシュが言うと、ヘンケン達二人が確かな意思を持ってもしもの事にはさせないと言ってきたことにスピノザは辛そうにしながら視線を下げる。
「・・・そういうことなら仕方ありませんわ。ですがその二人の気持ちを裏切らないようにしなさい、よろしいですわね?」
「はい・・・承知しています・・・」
そんな二人の気持ちを受けてナタリアもならと言うように念押しをして、スピノザも了解を返した。二人の気持ちがあったからこそすんなりと二人ともに頷けたと言うよう。









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