足を運び命を運び

「では一先ず俺達はここを出て、宿を取る。明日にはまたここに来よう」
「はい・・・その時までには結論を出しておきます」
そうして改めて明日にと宿に行くとアッシュが言うと、イエモン達は揃って真剣に頷いた。


















・・・そうして集会所を出て宿を取った後、ジェイドとルークは港の方へと足を運んでいった。タルタロスが港に堂々と停泊しているとキムラスカ軍に関知された場合に面倒になるからと、タルタロスは離れた場所に置いていて港に連絡役として変装して待機させている兵士がいるために二人で状況説明をしに行くためにだ。
「・・・しかし本当にアッシュすごいな、改めて・・・イエモンさん達がちゃんと事実を受け入れてくれるっていうのは前のことからそうなるだろうとは思っていたけど、あんな風に話が出来るってな・・・」
「彼自身の努力の結果であると同時に、ナタリアの事を考えれば彼自身が頑張る以外にありませんでしたからね。まぁそれも自身の子に後を継いでもらうようにした時でようやくピークを過ぎて、一段落と共に肩の荷が降りたようですけどね」
「・・・前に聞いた話だと子どもってアッシュが戻ってきてすぐにナタリアとそういう事をして出来たんだっけ?」
「えぇ、当時のキムラスカの事情的な物を考えてです」
そんな道中においてルークがアッシュについてを話題に出し、ジェイドが返した前のナタリアとの子どもについてを話し出す。
「アッシュが私達の元に戻ってくる前くらいのキムラスカでは表向きには出てはいなかったものの、真剣にインゴベルト陛下や公爵が不名誉なことを承知の上で不貞の子を作るかどうかについてをナタリアにまで話す程に考え込んでいたようです。これに関してはキムラスカ王族の血が流れていて子どもを作れる体にあるのはお二人だけで、やはりナタリアにはそこだけはどうにも出来ないからということでね。ですから成人の儀が終わった後に本格的にそうしようかと考えていたそうですが、アッシュが帰ってきたことでそれは立ち消えになったとのことです。ただそうは言ってもインゴベルト陛下に公爵の二人も壮健ではあったとはいえ、跡継ぎの跡継ぎが現れるのは早めがいいということで子作りを早くするようにとせがんだそうです」
「ただアッシュはその時からちょっとずつナタリアに対する想いの変化を感じてはいたけど、必要なことだからって理解はしても色々と納得しきれてない様子を見せてたナタリアを何とか説得してそうしたんだったっけ?」
「そう聞いてますが、その時にはもうアッシュとナタリアの間で考え方の違いというものは現れていたのでしょう。貴方と一つになったことで色々と考えざるを得なかったアッシュと、そのアッシュが戻ってきたことで失われていた分の今までの時間を取り戻しつついこうという考えになっていたナタリアとで・・・まぁそういうことではあっても一応はその時の子どもと一人だけでは流石に何かあった時にまずいということから、三年後にもう一人作ったことで子作りに関しては一段落としたそうです。もうその時にはかなりアッシュとしてはナタリアに対する気持ちが薄れていっていたことに加え、彼女としては政治に専念したかったこともそうですし行為自体を性欲を発散すること及び愛し合う二人の関係性の延長線上にある行動としてではなく、あくまで子どもを作る為の聖なる儀式といったような認識をしていたのが大きかったのでしょう。現に二人がそういったように体を重ねたのは子どもを作るために数回か程度で、それもナタリアのモチベーションを強く高めさせて覚悟をしてもらってようやくだったそうですからね」
「・・・何て言うかまぁ、そう聞けばらしいっちゃらしいって思うけど・・・歳を重ねて大人って立場に立ったにしては、あんまりにも幼い気がするな・・・意見の合致があったからってのだったりしたんだろうし別に性にだらしないのが正しいとかは言わないけど、何て言うかな・・・」
「気持ちは分かりますよ。貞淑な事が悪いとは言いませんが、彼女に限れば知識はあっても精神が追い付いてないというのは私も感じたことですからね」
ジェイドはその二人の間での子どもについてから営みに関してを話していくのだが、ナタリアがいかにその時動いていたのか・・・それらについての話を聞いたルークは複雑そうに頭をかき、ジェイドもまた呆れを滲ませながら眼鏡の縁に手を当てた。ナタリアの性に対しての幼さが滲み出ている様子が伺える数々の出来事に。









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