足を運び命を運び

「信じがたいというそちらの気持ちは理解は出来る。だがこれについては事実であり、俺とルークの二人を見ればそれは分かるはずだ」
「・・・はい、それは・・・話としてファブレのご子息が一人しかおらず、王族として後を継げる年齢の男子もまたルーク様しかいないことは聞いていますので・・・」
「そうだ。だからヴァン達のやったことが間違いでないことの証明にもなる上で、キムラスカも今モースがいる状態ではいかな話を持ち掛けようともこちらに耳を貸しはしないだろう。だからこそこちらで今作られている飛行譜業を貸し出してほしいというのと、この禁書を研究して中身の実現を可能な状態にしてほしい。無論キムラスカには情報を渡さない形でだ」
「・・・キムラスカの上層部に話が行けば貴殿方の事が知れ渡り、様々な弊害が発生しかねないということからですか・・・」
「あぁ。特に戦争に関してはまだ表向きは臣下達を納得させる為にも時間をかけていたかもしれないのを、俺達の行動を知って様々な反論やら何やらを押し潰して前倒しにしようとしかねん。そうなればキムラスカマルクト問わず被害は確実に出るだけならまだしも、パダン平原を支えるシュレーの丘のパッセージリングをどうにか出来なければ・・・待っているのは確実に万単位の人々の命が無くなるという結果だ」
「「「「っ!!」」」」
そんなシェリダンの面々を前にアッシュが話を続けていくのだが、もしもの可能性・・・パダン平原にいた兵士を含めた全員の命が失われるとざっとの数だけでも告げられ、一斉に顔色を青くして息を詰まらせた。仕方無いで済ませるにはあまりにも多すぎる人数が亡くなりかねない可能性についてに恐怖を抱くよう。
「・・・だからこそあくまで個人的にという形でこちらに協力してほしい。そちらの立場的に難しい物であったり、信じられないという気持ちがあるかもしれないがだ」
「お、お待ちください!・・・他の皆はどうかは聞いてみなければ分かりませんが、そんな話の中身を聞いてはとても拒否を返せる物ではないと思っています。ただその飛行譜業に関しては時間を少々いただきたいのです・・・その飛行譜業の名はアルビオールというのですが、最後の仕上げという段階でまだ完成には至っておらず数日の時間が必要になります。それに試験飛行をしないままに動かすようなことをするのは危険ですので、どうしても少しの間待っていただかなくてはなりませんし、何よりこちらにも相談する時間が欲しいのです・・・」
「成程・・・全員の納得もそうだが、アルビオールとやらはまだ完成していないからこそ時間が必要だということか」
そういった危険性についての認識をしてもらった所で協力をとアッシュが言うが、イエモンが慌てたように時間がなければ二つの理由で無理だと返してきたことに納得する。



(『あぁ、まだアルビオールはギリギリ出来てなかったのか』)
(それにこんなことを即断即決って形で決めるのは流石に酷だよな、そりゃ)
その会話を一員として黙って聞いていたルーク達も仕方無いというように口にしていく。色々と早かったのだと。



「・・・分かった、アルビオールに関しては待たねば仕方無いというのは。ただ急かすようで悪いが、そちらでの話し合いに関しては明日までに頼む・・・時間をかけて話し合いたいだろうというのは分かるが、アルビオールの使用をすることを考えればあまり相談に時間を食われるのはこちらとしては避けたいからな」
「は、はい・・・分かりました・・・明日になったらまたこちらに来てください。その時に私達の結論をお伝えします・・・」
アッシュはならというように代替案として明日までに相談をと言い、イエモンも圧されながらもそうすると頷き明日にと返した。他の面々も含めて色々と難しいという表情で。









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