足を運び命を運び

「やっぱり普通に生きてると、どうしても死って終わりがあるからな・・・むしろ終わりがあるからこそ頑張れるって思うんだよ。目標っていうか、望む望まないに関わらず死ってゴールがあるからな」
「えぇ。死は話に出た不老不死のような者でなければ、いつか訪れる結末となりゴールとなります。そしてそのゴールは望んだ形で切れるかどうかはその方次第ではありますが、そう出来ないままゴールを切る方が多いでしょう・・・ですがそれとその二人がどうしたんですか?」
「何て言うかまぁ、前の事として父上にガイは剣を向けただろ?ただあの時はピオニー陛下からマルクト側の事情を知らされてようやくガイは剣を引いたけど、あれって今となって考えれば父上との和解とか決着って結末じゃないよなって感じたんだ。何て言うかそういう事情だったのかって知って、そのスケールがファブレだけに留まらなかった事に呆然として手を出すのはよそうみたいな感じにあの時の反応がさ」
「・・・言われてみれば確かにそうですね。あの時ガイがファブレを許したとか分かりあったといったような復讐の解決といった感じに周りの面々は感じていましたが、そもそも覚えている限りでは完全に吹っ切れたと取れるような言葉は出てきてませんでした。そこから考えてみればその空気に流されてしまっただとか、ファブレ以外にも復讐相手がマルクトであったり場合によってはダアトもそうだと認識したからこそ、そのスケールに尻込みしてしまったのではないか・・・といったようにルークは感じたということですか?」
「あぁ、そういう感じだよ。そしてこっちのガイは多分そんな事情を知ったなら、戸惑いはするかもしれないけれどそれならもういっそ、キムラスカもマルクトもダアトも自分が生きている内に滅ぼしたいって気持ちを抱きかねない危険性があるって・・・そう感じたんだ。それなら自分がどうしてでも復讐を為し遂げようってな。でもあの二人のように皆出来ないからとかって訳じゃないけど、命は本来は限られた物なんだ。それをそんなオールドラント全てを滅ぼす選択をしかねない可能性のあるガイを信じるなんて、紫の話を聞いて出来ないって感じたんだよ・・・」
「・・・極端な話として不老不死同士の殺しあいなら失われるものなどないから勝手にやっていてもらっても当事者同士の事で済みますが、命ある者が他の何も知らない方々も併せて人々を殺してしまえばそれで終わってしまう・・・そう思えば確かにガイの事を止めねばならないし、信頼を向けるのは難しいと考えるのは分かりますね」
そうしてルークが二人の事からいかにガイが危険であり、信ずるには難しい物があるのかと考えたのか・・・苦心の滲むそれらの考えを聞いたジェイドもまた神妙な表情を浮かべて頷いた。当事者だけで到底済むような問題ではないことをガイが仕出かしかねないということに。
「・・・俺も今の話は納得出来たが、そこに付け加えるならヴァンの存在もある。おそらくホドの真実を伝えた上でヴァンは俺達に倒されもういないとでも言われたなら、漆黒の翼達の存在があってもガイが破れかぶれになる可能性は大いに有り得るだろう。こちらでのガイはヴァンに対しての想いというか関係から、ティアとは違った意味で暴走しかねんとな」
「あぁ・・・師匠が復讐心から暴走しないようにブレーキの役目を果たしてただろうから、それが無くなったら自分一人でも復讐をってことか」
「となると、ますますガイを大丈夫だなどと見て放っておく訳にはいかなそうですね・・・下手に謡将達を倒したからなら諦めますなんて言った所で、こちらを油断させるためのポーズでしかない可能性の方が高いでしょうからね」
それでアッシュも同意しつつヴァンの事を口にし、ルークも納得した後にジェイドもなりふり構わない事をする可能性についてを示唆する。暴走すると共に取り返しのつかない事を仕出かしかねないと。









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