(紫が言うにはこっちのティアは師匠以上に居心地よく接してくれる人がいなかったんだってよ。つってもユリアシティの人達は別に特に変わったような事はなかったらしいけど、その分が上積みされてるらしいんだ)
(『なんだそりゃ・・・んでその居心地の良さに加わって、俺らとの居心地の悪さがあったから一行から外れたってのかよ』)
(そういうことだと思う。多分とかそんな曖昧な物じゃなく、何もなかった場合は事態が進むにつれてギスギスした仲になっていくのは避けられなくなってただろうし、何よりこっちのガイがティアの後押しをしかねないんだよ。もうこっちで変に頑張るより、あっちに行って楽になろうってさ)
(『あぁ、ガイがいるか・・・つーか多分その雰囲気の悪さに一役どころか、何役も買ってるのガイじゃねぇのか？』)
(あ～・・・紫が言うには全員が全員そんなもんだからガイ一人が理由って訳でもないんだと。だから実際はガイ一人じゃないらしいんだけど、どっちにしても色々キツい事には変わりはないらしいんだけどな・・・)
(『まぁそりゃそうだろうな・・・全員が全員そんなんでキツくねぇとかないだろうしな・・・』)
それでティアの話題から同行する面々との仲に関しての話題へと移り、『ルーク』は確かにといった声を漏らす。この状況はキツいと。
(まぁそれも一応ジェイドにアッシュが協力してくれるからある程度はどうにかはなると思うけど・・・ガイやティアを引き留めることもそうだけど、ナタリアがどうなるかが正直どうなるかが分からないんだよな・・・)
(『ナタリア、か・・・あー、確かに被験者の事を知るとどうなるか分からねぇっつーか俺の事を確実に見限りそうじゃあるな・・・本物のルークじゃないならって』)
(あ～・・・それは間違いはないっていうか、実体験済みじゃあるけど・・・こっちの『アッシュ』のままだったら師匠側の方から離れない事が多かったから、かなり俺っていうかお前との空気が悪かったらしいんだよな・・・)
(『あぁ、何となく想像はつくわ・・・ずっと記憶のあるルークを待ち望んでたのに、それがいきなり出てきたばかりか敵になっちまって、その行き場のない感情の八つ当たりに俺とぶつかるってのがな・・・』)
ただしそれもジェイドとアッシュの二人がいる分マシになるとしつつも、ナタリアの話題になった途端苦い空気を共に醸し出す。






・・・ナタリアという存在は二人もそうだが、アッシュにとっても縁深い存在だ。何せ王族同士の婚約者という立場にあり、『ルーク』という存在と結婚することを本気で望んで接してきていたのだから。

ただ今となっては二人もそうだが、アッシュからしてもその想いがキツいという見方になってしまっていた。それは『ルーク』という存在というか、その名と記憶に理想を重ねすぎていたからだ。

そしてそれがこちらの『ルーク』にとっていかに重荷になっていくかもルークは紫から聞いていた・・・話を聞く限りではこちらの『アッシュ』もナタリアへの想いが全く消え去ってしまった訳ではないが、だからと言ってヴァンと比べてナタリアを取るほどの強い思いまではなかった。

ただそれでもナタリアの言葉に揺るがない訳でもないこちらの『アッシュ』ではあったが、その言葉に首を縦に振らない姿から何でと頭を悩ませるばかりか次第に『ルーク』とぶつかる事が増えていった。貴方がいなければ彼はこちらにいたはずなのに、と。

これはほぼ八つ当たり以外に何物でもない物であったが、普段から旅の最中にギスギスしていたことだったりも相まってそのやり取りは何度も繰り返されることとなった。何かある度に『ルーク』へと『アッシュ』の事をグチグチ言い、それで一行の空気を悪くするという形で。









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