足を運び命を運び

「では済まんが、そちらはアッシュが来るまでタルタロスの前で待っていてくれ。ただそちらに負担ばかりをかけるのもどうかと思うから、タルタロスの運転役に十人兵士をつける。だから移動時は気兼ねなくそちらは休んでくれ」
「お心遣い感謝します、陛下」
それで先に行って待機することと兵士をつけると口にしたピオニーに、イオンを始めとして一行は頭を下げた。


















・・・そうしてタルタロスの前に来たルーク達は兵士をジェイドから紹介され、中に兵士達が入っていくのを見た後に改めて一同はアッシュが来るまで待つことになった。だが・・・
(『・・・まただんまりの時間が続くな・・・』)
(まぁ前にも同じような事を言っただろうけど俺達って最初から仲良かった訳じゃないし、こっちのティアとかガイの事もあるからだけど・・・やっぱり歯車が噛み合ってないんだろうな。俺達が引いた態度で接しているってのもあるし、勢いでどうにかってのが無いからナタリアもそうだけどアニスがそこに突っ込んでこないからな)
(『アニス?』)
そうして待機する中で誰も会話をせずに沈黙の空気になる中、心中で会話をするルーク達だがアニスの名に『ルーク』は疑問符を浮かべる。
(今考えてみればって話だけれど、アニスは自分の秘密については隠そうとしていて苦悩してるって感じだけど、それ以外じゃ反応は年相応な部分が多いんだよ。計算高いっていうか頭を働かせてはいるけど、子どもらしく勢いで発言や行動をしやすいって意味でな。ただそんなアニスは今は色々と探ってるっていうか、どう発言するのかを考えてるように思うんだよ。モースのスパイをしてはいるけど馬鹿正直にそうしても自分や両親が殺されちゃ意味がないから自分はどうしよう、みたいに考えてるのもあるんだろうけどな)
(『あ~・・・そうしてあんまり必要がないなら黙るようにしてるから、結果として誰も積極的に発言しようとしてないって訳か』)
(正確にはナタリアは自分に同意しろってアッシュに言いたいけど、首を縦に振ってくれないからどうにかしないとって考え込んでるのもあって今は皆黙ってるって形になってるんだろうけどな)
その声にルークがアニスが黙っている理由についてを話していき、『ルーク』も納得する中でナタリアが今仕方なく黙っているのもあってと付け加える。
(・・・この空気に関しちゃ我慢するしかない。ガイがいなくなったから男と女って感じで分かれてるけど、ピオニー陛下が兵士の人達を運転役につけてくれたから一先ずはタルタロス内で俺達三人はゆっくり話せる筈だからそれまでな)
(『まぁそりゃ分かるけど、そんな風に時間が取れるんだからここらでアニスに関してを実際にどうするかってのを決めるべきだとも俺は思うぞ。確かにモースの事をどうにかすりゃスパイじゃなくなるようには出来るかもしんねーが、両親の事をどうにか出来ねーならまず前のような結末になりかねねーってのは分かるしよ』)
(そうだな・・・そこについてもそろそろ方針は決めとかないとな・・・)
名前が出たアニスに関してを横目に見ながら話をする二人だが、『ルーク』がここらでどうするかをと口にしたことにルークもまた重く肯定するしかなかった。時間の関係上そろそろアニスについて どうするかを先に決めておくべきであるだろうと。






・・・そうして少ししてアッシュが来たことで、一行はタルタロスに乗り一路シェリダンへと向かう事になった。









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