移動と選択

「まず端的に申し上げてその下準備についてを答えるなら、いくつかのセフィロトのパッセージリングに支えられた外殻大地をいくつか先に切り離して魔界に降ろすことです」
「何・・・魔界に降ろすだと?障気に満ちている場に降ろすなどとしたならそこに住まう者達の命が危ういんじゃないのか?」
「無論その事は承知の上で言っている上で、対策については勿論取る予定ではいます。そしてその対策とは何かと言わせていただくなら、この禁書になります」
アッシュはその対策については何かと外殻大地を魔界に降ろすことについてと話していき、その中で懐から前にイオンが見付け出した禁書を取り出す。
「これはダアトの中には過去で研究されていたものの、その中身が預言に詠まれてないから摘発するといった事をされて書庫の奥深くに死蔵されていたものです。この中身は端的に言うならば障気をしばらくの間地表に出さないようにするための理論になります」
「何っ・・・そんな技術があるのか・・・?」
「はい。ですがそれはあくまでも一時的でいて根本的な解決にはなりませんが、それでも外殻大地を魔界に降ろしても大丈夫になります」
「しばらく・・・根本的な解決にはならないにしても、外殻大地を魔界に降ろしても大丈夫ならいくつか大地を降ろしてキムラスカが戦争を起こすには躊躇う状態を作れた上で、かつそこにいる人々も無事に済ませることが出来ると言うわけか。そして外殻大地が崩壊してしまうことも防ぐことが出来る、と」
「そうなりますが、セフィロトのある場所で何処が危ういかということを考えるとホドとアクゼリュスに近いシュレーの丘・・・目下両国の戦争の火種を切るにはうってつけの場所であるパダン平原近隣を支えるセフィロトになります。そしてそんな場所の外殻大地が無くなったならまずキムラスカもモースもどういうことだとなり、戦争を出来るともしようとも判断も出来なくなるでしょう」
「まぁ兵力が無くなることもそうだが、キムラスカやモースからしたなら外殻大地が預言以外で崩壊したとなれば動揺して戦争など到底出来ないと判断するだろうからな。そしてそうするためにお前達は動くということか」
「はい。他にもまだやるべきことはありますが、あちらからして予想外の事と見て戸惑ってもらうには十分な切っ掛けとなるでしょう。そして来るべき時にバチカルに向かい、話し合いの場を設けることが出来たなら決してこちらの話を無視出来ないかと思われます」
「ふむ・・・話を聞く限り確かにそう言うことならあちらも歩み寄りは見せてくれるかもしれんな・・・」
そんな禁書を手にしながらいかに事態を進めていくかについてをピオニーに真剣に話をしていくアッシュに、受け止める側であるピオニーも手応えを感じるというように考え込む素振りを見せる。



(『すげぇなアッシュ・・・こんな風に話が出来るなんて・・・』)
(この辺りは必要があるから話をしないといけないって意気込んでるのもあるんだろうけど、アッシュ自身の話もうまいんだよな実際・・・やっぱり王としての経験が物を言ってるか・・・)
そんな風にピオニーが納得する様子を見ていたルーク達はアッシュについて話し合う。勢いとして話の中身もあるが、アッシュが完全に場を支配しているということに。









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