移動と選択

「・・・導師、少し外に出て話をするぞ。ここで話をするにはあまり良くない話になる」
「え・・・は、はい分かりました・・・」
それで目を開け外で話をと切り出すアッシュにイオンは戸惑いつつ頷く。
「と言うわけだ。二人は部屋で休んでくれ。然程時間をかけるつもりはないから俺達二人だけでいい」
「はい、分かりました」
「では行くぞ」
それでアッシュは二人に出ることを告げ、ジェイドの返答の後にイオンと共に外に出る。
「・・・どうなると思う?」
「彼の事ですからうまくイオン様に話をつけるでしょうし、あの様子でしたらナタリアに対して情けからの言葉を口にはしないと思いますよ」
「・・・ってことは話の中身としてはそんなことをしないっていうのと、それを口にしないようにってイオンに言い含める感じか・・・」
「その辺りが妥当でしょうね」
そうして二人が残った場でルークがジェイドに話しかけるのだが、二人ともにナタリアへの気持ちは固まっているだろうという確信に近い考えを抱いていた。ただナタリアが不憫になるだろうという確信が・・・


















・・・そうして二人は宿の部屋に戻りしばらくゆっくりしていた所にアッシュ達が戻ってきたのだが、イオンが暗い面持ちでいてアッシュが静かに頷いたことから二人は話がちゃんと出来たのだと確信した。と言ってもイオンが不憫であることには変わりはなかったが。

ただそんな風になった後はミュウも場にいる為に特に変わった会話をすることもなく一同はゆっくりと過ごし、ケテルブルクでの一夜を過ごした。そして一行は宿とケテルブルクを出てタルタロスに乗り込み、アルビオールのように動力部が不調を起こすこともなく出立した。



「・・・ねぇ、アッシュ。ちょっと聞いていい?」
「なんだ?」
それでタルタロスのブリッジにて、タルタロスを動かす中でアニスがアッシュに問い掛けを神妙な様子を浮かべながら向ける。
「・・・ナタリアに関してはどうするの、アッシュ?もうこっちとしてはいい加減ナタリアと一緒にキムラスカに戻るって言ってほしいんだけどさ・・・」
「・・・ケテルブルクで何かあったのか?」
「アッシュと話をした後なんだけどさ、ナタリアの愚痴が酷かったんだよ・・・言いたいことは分かるけれど、いいではありませんかみたいに言う形でさ」
「・・・それがずっと昨日の内は続いていたというのか」
「そうだよ・・・正直さ、私からしたらどうでもいいからナタリアを落ち着かせるような答えを返してほしいんだよね~・・・アッシュは気乗りはしないだろうけど、これからあんな風な様子が続くと思うとキツくて仕方無いし・・・」
「・・・ふぅ・・・」
そんなアニスから出てきたのはナタリアについての事でどうにかしてほしいと疲れたように口にしたことに、アッシュもまた疲れたように深い息を吐いた。
「あ~・・・アニス、気持ちは分かるけどんなこと言ったってナタリアが黙るなんて保証はねーぞ。むしろ下手すりゃ別方向にはしゃぎかねない可能性があっから我慢してくれ」
「えっ・・・別方向にはしゃぐってどういうこと・・・?」
そんな光景に仕方無いというようルークが口を挟むのだが、その中身にアニスはピンと来ていないというようその理由を聞きたいと漏らす。









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