移動と選択

「・・・それこそ今更だろうよ。俺は自分で言うのもなんだけど、ティアとの接触で飛ばされて以降の旅で色々と経験してきたつもりだし・・・あのオッサンに造られた存在だって分かったんだ。だから俺としちゃ劇的に変わったみたいなことは自覚はねーけど、これからどうしようだとかどうするべきかだとか色々考えてきたからその違いが出てきたんだろ」
「しかしそれだけでは・・・」
「だったらお前・・・自分が実は本物がいてお前は真っ赤な偽物でしたなんて証拠も見せられて、あぁそうですかなんて軽々しく受け止められんのかよ?」
「っ!?」
ルークは仕方無いというように自分が変わった理由についての推測を口にして、ナタリアは微妙そうな顔をするが・・・これからのナタリアに起き得る事についてを知らないといったように自身の事を出すと、一気に息を詰まらせた。あくまで何も知らないといった体で言われたこととはいえ、あまりにも残酷な事を聞かされたと。
「・・・アッシュが俺らと一緒に来るようになってお前はそっちにばっか視線向けてたから、俺の事なんて考えてなかったんだろうけどよ・・・今まで俺が何も考えてなかっただったり変わったのはおかしいみたいに言われっと、俺の自覚についてはともかくお前が俺の事を何も考えてなかったってのはよく分かるぞ」
「そ、それは・・・」
「・・・ま、別に俺はそれを責める気はねーよ。取り敢えずそういうことだから俺のことは気にすんなってだけ言っときたかっただけだ。だからんなこともう言うな、いいな?」
「はい、分かりました・・・」
そんな様子に面倒そうにしつつ話を進めて同じことはしないようにとルークが言い含めれば、ナタリアは力なくも了承するしかなかった。色々と気まずかったのもある上、これ以上蒸し返すような問題にしたくないというよう。



(『・・・なんつーか、ナタリアもナタリアでちゃんと周りを見てねーんだな。こうしてアッシュにこだわる様子にお前の事を今更不審な目で見たのを考えるとよ』)
(実際のとことしてナタリアは余裕が無いんだろ。って言ってもティアみたいに受け入れて考える余裕がないみたいな感じじゃなく、実際にこういう問題がありますって目の前で見ないとそれについてを考えるような余裕がな・・・まぁそれに関しちゃティアの問題よりもキムラスカもだけど、何よりアッシュのことが身近にあるからなんだろうけどな)
(『だろうな・・・』)
そうしてナタリアとの会話が終わったと見た『ルーク』からの声に答えるのだが、余裕がないとの言葉を返すと確かにと微妙そうに納得した。ナタリアがアッシュやキムラスカ以外の事を考えるような状態ではないのだと。
(『・・・それは置いとくにしても、ナタリアの未来に関わるような感じに俺達の事を口にしたのはあいつに何かを望んでなのか?例えばその、ナタリアも近い内にそういったことになり得るみたいな考えだとかよ・・・』)
(そういった考えもなかった訳じゃないけど、単純に俺の事に関してを必要以上に突っつかれるのは良くないって思ったからだな。ナタリアの性格上強い言葉で返すと売り言葉に買い言葉になるのは目に見えてたし、生半可な言い訳で逃げても納得出来ないって言われるのもまた目に見えてたから、デリケートな部分があるってハッキリ思わせた方が引くって思ったんだ。何だかんだナタリアはそういったところは甘いからな)
(『あぁ・・・そう考えりゃ確かに言い争うよりは早く話は終わるか、あいつの性格なら・・・』)
ただと続けられた未来を示唆することについての疑問に対してルークが早く事態を納めるためという答えを返したことに、再び『ルーク』は納得した。ナタリアなら確かにその方がマシだったろうと。










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