「と言うことだからティアについては本人の前では口に出すな。あの様子を見る限り余程不審な態度を取らなければ向こうからこちらに何か言い出すことはないだろうからな」
「それは、分かりましたが・・・いつまでもあのままでいてもいいという訳にも・・・」
「むしろ逆にこちらから聞かせてもらうが、ティアがヴァン以外の事で何か自己主張なりこうするべきだなどといった事を切り出してきたか？」
「・・・それは、無いですが・・・」
「ならそのままにしておけ。当人が聞けば気分を悪くするだろうが、ヴァンに会う以外に目立った目的も欲求もないティアはそこくらいしか自己主張はしてこない。それならいっそ放っておく方が建設的であり、こちらも言うことを受け入れないことに苛立つことも無くなる」
「・・・分かりました、仕方ありませんがそう致します・・・」
だからとティアについてを放置するように話を進めるアッシュなのだが、ナタリアはようやくというよう不満を滲ませながらも頷いた。






(『ナタリア納得してねぇよな』)
(まぁそりゃナタリアからしたら自分達と行動してるんだからちゃんと協力するようにしろって思うだろうな。ただそれでもアッシュの言葉に納得しきれないままでも頷くあたり、ティアに関してダメだって思う部分も確かにあるんだろうな)
そんなやり取りを端で見ていたルークは内心で『ルーク』と会話する。やはり不満はあるのは分かるが、それでも言われて引く辺りにティアに対しての考えが見えると。
「ねぇ、ルークはどう思ってるの？ティアのこと」
「は？ここで俺？」
そんな風に考えていた時にアニスが話題を振ってきたことに、ルークは何故自分にと眉を寄せつつ口を開く。
「・・・ま、俺もアッシュと似たような考えだよ。つーか経緯もあってこの中じゃあいつと一緒にいた時間は俺が一番多いけど、本当に言いたくねーことにやりたくねーことに関しちゃマジに譲りたくねーって態度だったからな。それでも今までなんとかなって来たのはあいつが他の何を差し置いてでもあのオッサンとの再会を望んだからで、俺達の為にって気持ちはあいつなりにしかないってくらいでもマシって思うしかねーだろ。じゃねーとマジで揉め事起こされてろくでもねーことにしかならねーのは目に見えてるからな」
「あ～・・・確かに今まで一番長く一緒にいたルークの事を考えるとそうなるか～・・・」
「だろ？それにまだ俺達の中じゃ言うことを聞くジェイドに舵取りを任せればとかみたいな考えも良くねーのは感じるんだよ。それで苦労するのはジェイドになるし、ずっと言うことを聞かせることが出来たまま御しきれるかって言われるとお前も頷けねーだろ？」
「あ～、うん・・・確かにそこはね～・・・大佐でも無理なのはすぐに想像がつくし・・・そう考えると変にティアを突っつくようなことはしない方がいいって思っちゃうな～・・・」
それで仕方無いといったようにルークが言葉にしていった話の中身に、アニスも理解出来ると力なくたそがれるよう漏らす・・・ティアに関して変に突っついても、下手に苦労しかねないだけだというのをアニス自身感じて。
「・・・今更ですが、少しよろしいですか？」
「ん？俺に何かあんのか？」
「・・・貴方、本当にヴァンに入れ換えられて七年間ファブレにいたルークなのですか？以前から感じていたのですが、今のアニスとの会話から改めて違和感を感じてなりませんわ・・・」
「・・・マジで今更だな、おい・・・」
ただそこでナタリアが今更と口にした疑問に、ルークは本当だと面倒そうに漏らす。何で今になって前との違いを口にするのかと。









.