移動と選択

・・・ユリアシティにて市長と話をして、ティアの問題についてを改めて再認識したルーク達。そんな中でアラミス湧水洞を抜ける時に少しでもダアトに行けないかとイオンから口にされたのだが、現状でダアトに行かなければならない理由がないことはおろか導師が戻ってきたというように噂になればどうなるか分からないということから却下され、気を落としたイオンと共にタルタロスへと一行は戻った。次なる目的地であるグランコクマへ向かうために。






「・・・けれどさ~、ティアは大丈夫なの?言っちゃなんだけど、謡将と敵対するなんてことになったらとても戦えるような感じには見えなかったよ」
「そうなればそれまでの話だ。それにあいつが俺達の言うことを全て受け入れられるだったり状況に応じてこうしようと考えるような柔軟な頭をしていたなら、そもそもこんな状態にはなっていない。むしろバチカルにまでヴァンを追いかけて来るほどのバイタリティに執念をいざ奴らと対峙する時に発揮されたら困るのは俺達だ。最悪ヴァン達が危険に陥ったなら俺達を倒すべき敵であったりヴァンを殺させまいと、譜歌で乱入しかねん」
「うわっ・・・そうなったら最悪どころじゃないじゃん・・・」
「そうだ。ならまだ俺達の手元にいてもらった方がこちらも色々と楽になるということだからこれでいい」
「あ~・・・そんなことないって言い切れないよね、ホント・・・」
・・・それでタルタロスを動かす中でアニスがアッシュにティアについてをどうなのかというように話し掛けるのだが、アッシュの迷いの見えない信頼がないからこそとの返しにアニスも複雑そうに納得せざるを得なかった。ティアの事は手元に置く方がまだベターな選択なのだと。
「ですが彼女はここまで来ても我々と足並みを合わそうとするような素振りすらありません・・・もしヴァンの方に転がりかねないことになったら・・・!」
「足並みを合わせるようというが、今となって思うようになったこととしてはあれでも随分と自分が譲歩していると言ったようにティアからすれば考えているというところだろう。ファブレから飛ばされしばらくの間の経過を聞く限りではティアは自分の考え通りにいかないことに苛立っていて、それからは無言になり積極的な発言もしなくなったとの事だが・・・言いにくいことだったり状況の事があったとは言え、ティアの根底では今の状態が自分は足並みを揃えているという考えだろうが、それを尚もこちらに寄れなどと言えば、奴はそれこそ今以上に不信感をこちらを向けてくるのは目に見えている。そうなれば来るべき時に本当に裏切りかねん可能性が高くなるぞ」
「だから彼女を放っておけと言うのですか!?」
「ティアをどうにかしたいと思うのは構わんが、やるだけやって揉め事の種が発芽してより面倒になるのはゴメンだ。本来なら文句があるならお前がどうにか自分でやれと言いたいところだが、確実にティアを説得して改善出来る材料がなければやめてくれ・・・俺もそう出来る材料があるならとっくにやっているからこう言っているんだ」
「っ・・・貴方が、そこまで言うのですか・・・」
だがナタリアはそんなことは望ましくないといったように間に勢いよく会話に入ってくるが、冷静でいて理詰めで返すアッシュに次第に言葉の勢いが消えていく。









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