盲目の愛を愛と呼べるか

(・・・だから二人の事をどうにかしたいって思いはしても、俺じゃどうにも出来ない・・・だったらせめて他の事がうまくいくようにっていうように動くことを考えないといけないんだ・・・)
(『そうだな・・・せめてそうなるようにしたいよな・・・』)
そんな気持ちのまませめてと口にするルークに、『ルーク』はただ同意するしかなかった。下手な同情も何も出来ないような状態であった為に。



















・・・そうして表向きルークは何もないようにゆっくりとした時間を過ごした。それで三時間が経ったと言った所で、市長とティアの二人は譜陣の元まで来た。
「・・・来たか。結論は出たか?」
「はい・・・話は長くはなりましたが、結論としてはティアは付いていくとの事で意志は変わりませんでした・・・」
「・・・大方市長は止めようとしていてそれでこれまで時間がかかっていたということか」
「そうです・・・」
アッシュはそんな二人に早速とどうなのかを問うと、市長が答えを返すのだが明らかに疲れがこもっている様子で肩を落とす。説得出来なかった事に力尽きたといった様子が伺える形で。
「・・・付いていくと言うなら何も言わんとは言わん。ただここを発つ前に最後の確認の意味で一つ聞くが、ヴァンの危険性を認知した上で俺達に付いてくると言っているんだな?」
「えぇ、そうよ・・・お祖父様には無理はせずに待っているようにすればいいと言われたけれど、やっぱり兄さんを止めたいと思う気持ちは変わらないわ」
「・・・ふむ、なら・・・」
「ちょっと待て。もう付いてくるのは確定でいいにしても、俺からちょっと言わせてもらいたいことがあるから少しこの場で言わせてくれ」
「・・・分かった」
アッシュはそんな市長に声をかけずティアに確認を取り気持ちは変わることはないと言うその姿に話をまとめようとするが、ルークが自分が話したいと切り出したことに引く体勢になる。
「・・・何を言いたいの?」
「んな構えんなっつーの。市長と何をどこまで話したのかなんてその場にいなかったから俺にはわかんねーから似たようなことを聞くかもしれねーが、俺が聞きてーのはそうして俺達に付いてきてお前はどうしたくてってのもそうだが、あのオッサンにどうなってほしいって考えてるのかって事だよ」
「え・・・?」
ティアはすぐに警戒気味でいて威圧的に振る舞うが、頭をかきつつ口にしたルークの言葉に呆けたような声と表情を漏らす。
「今までの旅っつーかさっきアッシュからあのオッサンの計画については聞いただろ。それを踏まえて今の質問を俺はしてんだ。お前の考え方が俺らと一致してるかどうかを聞いとかないと、いざって時に私はこんなことにしたかった訳じゃないとかって事になりかねない感じがしたからな」
「こんなことにって・・・」
「例えて言ってみりゃ自分は兄さんを説得して改心させたかっただけなのに、俺達が勝手に戦う流れにしちまったことが許せない・・・みたいな感じのズレが出来るような事にはしたくねーって事だよ。説得したいってんならやりゃいいとは思うけど、お前がそう思ってたってだけなのに俺らも自分と同じ考えだろうみたいに勝手に都合よく解釈された状態でキレられても困るって事だ」
「・・・一理ありますね。私はその時には戦いを辞さない覚悟はしていますが、ティアが説得をしたいというならまずその旨を確認しておかないと行き違いが起きかねませんし・・・何よりそれが駄目で戦いとなった場合、ティアが謡将を殺すことはおろか戦うことすら許さないみたいな考えを持っているかどうかも聞いておかねばこちらも安心出来ません。その土壇場になったら突然裏切るなどというような行為を取られたくはありませんからね」
「っ・・・!」
その様子にいかにヴァンに対して考えているのかについてのすり合わせがしたいと言うルークに、ジェイドも眼鏡を押さえつつもしもの時のことについてを聞かせてもらうと圧力を込めて口にするとティアはたまらず息を呑んだ。下手に言葉にせずに濁すことなど許さないと言外に言われてるも同然の物だと感じさせられて。









.
15/19ページ
スキ