盲目の愛を愛と呼べるか

「・・・さて、市長にこうして話を聞けたことだから次に話を聞くのはティア・・・お前だ」
「わっ、私・・・!?」
そんな風にルーク達が考えている中でアッシュは市長から視線をティアに向けると、何度目かになるのか自分に話題を振られるというよう驚きを浮かべる。
「今更お前が驚くようなことを言うつもりはない・・・俺が聞きたいのはこれまでの話を聞いた上で、まだ俺達と共に付いてきたいのかというセントビナーで聞いた選択についてどうするのかだ」
「あっ・・・」
「言っておくがここはダアトではなくユリアシティだからまだ結論は出さないでいいだろうというような事を言うのは無しだ。お前もここに来る時にはダアトではなくユリアシティが目的地だと察していただろう・・・だから率直に聞くが、今までの話を聞いた上でお前はどうしたい?祖父である市長に生まれ育ったこの街の住民をもろとも滅ぼす可能性の高いヴァンと向き合えるか?最悪の場合はお前も殺しにかかる可能性もあると考えてだ」
「っ!!」
アッシュはそこから聞きたいことは付いてくるかについてと言うのだが、容赦なくヴァンの取りかねない可能性についてを挙げていくとティアは顔色を一気に青ざめさせた・・・市長達の事以上にやはり自分がヴァンに殺される事を考えると、上から目線な割には死には臆病であり兄を信じたいという気持ちを捨てきれてないのが分かる様子で。
「・・・あ、あの・・・確かに貴方がそれを聞かなければならないのは分かりますが、流石に今の話を聞いてすぐに決めろというのはティアにとっては酷な話だと思います・・・ですからその、少しだけでもティアに考える時間をいただけないでしょうか・・・?」
「・・・考える時間、か・・・」
市長はそんな様子におずおずとしながらもティアの為に時間をやってほしいと願い、アッシュは考え込むようにしながらルーク達へと視線を向ける。
「・・・いいのではないのですか?ただし時間をとは言いましたが、ここに長く滞在することはそちらからしてもこちらからしてもあまりよろしくないでしょうから、どんなに長く見積もっても三時間と言った所が関の山だと私は思います」
「三時間か・・・まぁその辺りが妥当ではあるだろうが、反対意見はあるか?」
ジェイドがその問い掛けに自身の考えをまとめて口にし、三時間の考える時間に納得しつつアッシュは周りにもどうかと問う。



(・・・反対じゃないけど、これは言わせてもらうか)
「だったら別に反対って訳じゃねーが、市長はその時間の間ティアと腰をすえて話し合ってくれ」
「えっ・・・それはどういうことですか・・・?」
その中でルークは一人考えたことを口にするのだが、引き合いに出された市長は訝しげに声を漏らす。どうして自分がティアと話さなければならないのかという疑問の様子で。
「どうせって言い方になっけど俺達に対してだとティアが何も言わねーで相談もしたくねーってなった上で、一人塞ぎこんでろくに考えもまとまってなさそうなまんま行くって言うだけで決意がろくに固まってねーまま付いてくるで終わるのがオチだ。だからさっきあんたに対して見せた反応からあんたならまだ俺らよっかティアは話を聞いてくれるだろうから、あんたと話をしてもらってどうしたいのかをちゃんとティアに考えさせて気持ちをまとめてもらいてーんだよ。俺らじゃそれは出来そうにねーからな」
「あぁ・・・確かにルークの言うようにしてもらった方がいいかも・・・これまでの間ろくにティアと私達話してこなかったし、話に来てもくれなかったからまだ市長となら話してはくれるだろうし・・・」
「・・・そういうことですか・・・」
ルークはその理由についてを話していく上でアニスも中味に脱力気味に同意すると、市長もあぁと何とも言い難い様子で納得した・・・アッシュ主導の話の中で話しはしたが、今までの旅の中でのティアの頑なな協力拒否の姿勢にルーク達が苦労したことは市長にも理解が出来た為に。









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