盲目の愛を愛と呼べるか

「だからと言うか、他にもそちらが行動したなら色々とまずいことは存在している。だからこちらとしては下手な動きをしてもらいたくないことから、表向きは何も起こってないというように振る舞っていてもらいたい。特にヴァン達が俺達と接触していたことや真実を知ったことを知ったなら、そちらがどうなるかは今言ったような通りになる可能性は非常に高いだろうからな」
「っ!・・・そうならない可能性は、相当低いんですね・・・」
「あぁ。下手に奴らが情けをかけてくれると期待して行動して失敗したなら、確実に奴らの矛先はこちらに向くだろうが・・・その時に奴らがここに対して取るだろう最も効果的であり、致命的な手段はここに来る前に通ったあの譜陣の破壊だ」
「「!?」」
アッシュはそんな流れを継ぎつつ下手に手を出さないようにと話をしていくのだが、取りかねない行動の可能性について聞かされ市長もだがティアも驚愕に目を見開いた。
「驚く気持ちは分からんでもないが、このユリアシティの立地上あの譜陣を使えなくなればそれだけでもうここは外殻大地上に戻ることは出来なくなる。それを考えればユリアシティの者達への気持ちなどない上に一般にはほとんど知られていないここの存在についてを考えれば、譜陣を壊せば時間が後は住民を勝手に殺していくとでも思うだろう。そうなればそちらの終わりはそうそう早くは訪れはしなくとも、外殻大地との繋がりを消されてしまえばもう何も出来ん」
「・・・だから、何もするなというのですか・・・」
「確実とは言わんが、それでもそちらは何も知らぬ存ぜぬを押し通せば外殻大地が滅びたとしてもそちらが何とか生き残れる可能性は無いとは言い切れん・・・確かにこちらの事情としては協力してもらいたいのは山々ではあるが、言い方を変えただけに聞こえるだろうが何もしないことがそちらからしての俺達への協力の形になると思って欲しい。無論俺達もそちらの事を言わない代わりにそうするという条件にする」
「・・・それを答える前に一つお聞きしたいのですが、仮に大詠師やキムラスカをこちらの言葉から動かせたとしたなら、ヴァン達を止めることは出来ると思いますか?」
「仮に結束して事に挑めたとて自分達が追い詰められたと考えていく内、せめて最悪自分達と共にこの世界を滅ぼそうと外殻大地の崩壊に考えを移行させかねん。奴らは質はともかくとしても数においては不利だから、自分達の計画が頓挫すると見たならせめてこの世界の破壊だけでもしなければとな・・・ただモースは今言ったようにそんなことを聞くわけはないのは目に見えているから、そんな仮定は意味はないだろう」
「っ、そう、ですか・・・分かりました・・・ここでの話は私だけの胸の内にしまい、静観することにします・・・ユリアシティの者達は今の話を聞いてもヴァンがそんなことをと信じるかどうかもですが、何よりここが危険なら別の場所に離れるといったことは様々な理由からそうそう易々とは出来ません・・・ですので何もしない方がまだ安全だというならそうした方がいいでしょうからね・・・」
「そう決断してくれて助かる」
その上でいかにユリアシティの置かれている状態がまずいのかに打開の期待の問い掛けにもあっさりとアッシュが話していくと、市長はとうとう勘弁したというようにうなだれ何もしないと力なく答えた。最早自分達にはどうしようもないのだと理解させられる形で。



(『本当にすげぇな、アッシュ・・・口だけで市長を諦めさせたぞ・・・』)
(何より効いてるのはさりげに自分達は何も言わないって付け加えたことだな。多分あれがなかったら市長は自分達の未来の為にもってまだ諦めきれてなかっただろうしな)
(『あぁ・・・何もしないなら安全が確保されてない状況なら、市長がやけになってたかもしれなかったってことか・・・』)
そんな光景に端で見ていた『ルーク』は感嘆の声を漏らし、ルークの補足に尚感心してしまう。そういった然り気無い言葉があったからこそとの考えに。









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