盲目の愛を愛と呼べるか

「言っておくが、これは嘘ではない。ヴァンの元で活動する中でヴァンがモースの元にフォミクリー技術を使わないかと持ちかけ、それを了承したことについて俺は知っている。ただ勿論その中身に関しては公には出来んことだが、だからこそヴァンのやったことに荷担していたというように言われればモースは全力で否定を返してくるだろう・・・そんなことをしたと公に認めてしまえば、大詠師としての立場が一気に危うくなることは目に見えているからな」
「・・・だから彼はその事実を認めることなく、止まらないということですか・・・」
「オマケに言うならモースはヴァンを自分なら御せると考え、いつでも排除出来ると見ている。最悪な場合はヴァンに全てをなすりつけて見捨て、自分は利用されただけだとか出任せを言うなとしらを切って言い逃れをするだろう・・・だから奴はそんな都合の悪い預言を信じないのも相まって、一時的にもこちらの言うことなど聞きはしないのは目に見えているがそちらはどう感じた?」
「・・・・・・否定は、出来ませんね・・・彼の人格に預言を大事と見るその姿勢を買って預言通りにするように動かすための実行者としましたが、彼のそんな姿勢から考えるなら良い預言以外は些事と見るでしょうしヴァンのこともそれこそ都合が悪くなれば排除にかかるだけでしょう・・・自分の大詠師という立場を守ることも含めて・・・」
「っ・・・!」
アッシュはフォミクリー技術をモースが知っていて隠蔽をすると同時に必要ならヴァンも犠牲にするだろうと言い切り、市長も苦々しげながら否定を返せずにいる様子にティアは表情を若干苛立たしげに歪める。
「そう言えるというならこちらがそちらに願うことがある・・・それは下手にどうにか解決しようと独断で行動するのは止めてほしいということだ」
「・・・我々の協力が欲しいということではないのですか?」
そんなティアについては触れずにアッシュは静観を望むと口にするが、市長はどうしてかと首を傾げる。
「モースについては今言った通り下手に話をした所で話を聞かないばかりか妙な行動を起こしかねんこともそうだが、どちらかと言えばヴァンに関してが危ないからこう言っている・・・それは奴がどのような事を目指して行動しているのかに、ユリアシティが元々奴がどう行動するかについてを決めた元凶であることを考えたなら・・・もし奴らの計画が市長達にバレていると分かったなら、ヴァンが取る行動の中にこのユリアシティの者達の皆殺しをしでかす可能性が否定が出来ないからこう言っている」
「「!?」」
だが続けられたアッシュからの可能性についての推察の言葉に、市長だけでなくティアも目を見開き驚愕せざるを得なかった・・・生まれ育ったこの場所に加え、ここに住まう人々を滅ぼすなど信じられないというよう。
「考えてみろ・・・奴らの計画が達成された場合、外殻大地が全て破壊されたなら奴らの作るレプリカ大地以外に残るのは精々このユリアシティと遠く離れた地にあるという、創世歴時代の塔らしき建物くらいだ。まぁその塔に関しては人がいないだろうことからともかくにしても、計画が実行されて成功したならこのユリアシティの住民達は奴らに従属か死かの選択を強いる・・・ならまだいい方だろう。しかし残った預言大事の者達に対しこの者達だけは情けをかけて生かしてやろうと言ったようなことをすると思うか?既にオールドラントのほとんどの生命を滅ぼした上で、後々に預言を乱したことによる怒りなどから反旗を翻す可能性のある者達をわざわざだ」
「「っ・・・!」」
だが強く揺るぐことなくヴァン達が取りうるだろう行動を口にしていったことに、二人は否定の言葉を返せずに息を呑むしかなかった。決まった訳ではないにしても、ヴァン達のやることを考えればユリアシティにその住民の安全はかなり危なくあるということを理解し。









.
10/19ページ
スキ