盲目の愛を愛と呼べるか

・・・一路ダアトに向かいタルタロスを動かすルーク達。だがガイがいなくなったことにより二交代で進めないということでローテーションのやり方を見直し、多少変則的に交代しながらルーク達は移動していくことになった。






「・・・あの、ルーク・・・少しいいでしょうか?」
「何だ、イオン?」
・・・そうして移動していく内にダアトに後数十分もあれば着くという段になり、イオンがルークに話しかけてジェイドとナタリアはその声に反応して視線をそちらに向ける。
「・・・その、ガイのことは本当に良かったのですか?話には聞きましたけど、そんな風になって貴方は・・・」
「全員いる時に話しただろ、もう納得してるって。つーか俺もそうだけど、アッシュもジェイドも色々危険だって考えたからそうするって決めたんだ。それに今ケセドニアに戻ってガイを連れていきたいなんて漆黒の翼の奴らに言っても、どこに連れていかれたかわかんねーしあいつらもそれでガイの身柄を渡すなんて言わねーと思うぞ。あいつらからしてもガイをほっとくなんて気持ちにはならないだろうしな」
「それでも、ガイの気持ちは・・・」
「あいつを信じたいからそんなことを言いたいって気持ちから言ってんだろうけど、あいつが裏切ったら俺やアッシュもそうだけどお前らだって危険になんだぞ。下手にあのオッサンに説得されて向こうについただけならまだしも、途中で何も言わずに俺らを暗殺しに来るとかな」
「っ・・・!」
イオンがそんな中で口にしたのはガイをどうにか連れていけなかったのかという可哀想との気持ちがこもった声だが、ルークが返した残酷な可能性についての言葉に一気に苦い表情に変わった。
「・・・わかんだろ、そういったことになったら取り返しがつかないとかそういう話どころじゃなくなることは。それにその時の話をしたら俺らより何より、ナタリアが怒っただろ。私達を騙していたばかりか、復讐を諦める気がないガイを許すわけにはいかないって」
「そ、それは・・・」
「そうですわ!ホドの生き残りという点は同情は出来ますが、ファブレにいた頃から復讐をしようとしていて事実が明らかになっても頑なに心の内を明かそうとしないガイの事など信用出来るはずありませんわ!」
「っ・・・」
続けてルークが低くした声でナタリアを引き合いに出すとその当人が怒りを全く押さえる様子もなくがなりたててくる姿に、イオンは圧されて何も言えなくなってしまう。
「・・・イオン様がガイに対して同情を抱くことは構いませんが、ケセドニアでの話をした上で納得・・・と言うよりはそうした方がいいという話になったからこそこうしているのです。それに今はナタリアが怒りましたが、ティアはともかくとしてもアニスももしもの場合は自分も危地にガイのせいで立たされるかもしれなかったことから、彼への不信感を抱いた旨を滲ませながら話をしていました・・・同情はしても構いませんが、彼の善性に賭けたいと言うのは我々からすれば到底許容出来る物ではありません。それにガイ当人にそう訴えかけても表面上は頷きはしても、後でどうなるか分からないと当人自身がよく感じているでしょうから尚更に彼を連れていくのは危険ですよ」
「っ・・・ジェイド・・・」
更にジェイドもアニスにガイ当人の気持ちを引き合いに出す形でやらない方がいいと言い切った事に、イオンはただ悲し気に目を臥せその名を漏らすしか出来なかった・・・ガイを信じたいが信じることがどれだけ難しいのかを、まざまざとその言葉から知らされた為に。









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