見えないものを見据えられるか

「・・・正直、私らとしても変にこっちに気を使うくらいならいっそこの場で全部ぶちまけるか暴れるかくらいはしてほしかったんだけれどね・・・そっちの方がまだ分かりやすくて良かったよ」
「それはこちらとしてもそうですが・・・一先ず私達が事態を収めるまでは彼の身柄は引き受けてくれるんですか?」
「それは構わないけど、そう聞くってことは後であの男に何かさせるつもりなのかい?」
「一応彼には事をどうにかした後に事情を聞きたいと思っています。話をしてくれるかどうかはあの様子では望み薄ではあるでしょうが、謡将達をどうにかした後であれば話をしてくれる可能性は無いとは言えませんからね・・・ただまぁその後でファブレに帰すだとか野に放すといったことはしませんが」
「そりゃね・・・特にファブレに戻すなんて有り得ないだろ?」
「当たり前だ。むしろ何故大丈夫だなどと思える」
「まぁ後はそっちの中でどういった風にガイが考えるかなんだけど・・・お前としちゃ今はどんな気持ちに考えなんだよ、ティア?」
「えっ、わ、私・・・!?」
「他にここにティアって名前は誰にもいねーだろ」
それでノワールも何ともと言ったように話に加わって会話は進むのだが、その中でルークがティアに質問を投げ掛けたことに瞬時に戸惑いと驚きを浮かべる。
「別にガイやお前の正体云々を言うようになんて言わねーけど、ガイのあんな風な姿を見せられて今どんな気持ちなんだよ。それくらいは言えよ」
「な、何で・・・」
「さっきもそうだったけど、お前何も言われなかったら終始無言で済ませようとしただろ。けどいい加減言えることとしてよ・・・そろそろ他人事みたいに思うのだったり、何も言わないでいいならそれでいい以前に自分はただ付いていけばいいみたいなスタンス止めろ。特にガイについて言い渋るような様子を見た後だと、お前もガイみたいにどっか滅ぼしてやろうとか何かしら企んでるんじゃねーかって見られてもおかしかねーどころか、実際俺ちょっと疑いそうになったんだぞ」
「なっ・・・!?」
「ちょっとっつったろうが。今までの旅の感じからお前がそんな風な事をしでかしそうな隠し事はしてねーっつーか、出来ねーってのは分かってるからそれはないって思ったからな。けどガイに関してに自分達の事に関してをやたら言い渋る姿を見て、お前を疑うくらいには俺だって考えたんだよ・・・最初からか途中からかはともかく、お前が俺らを後で裏切って殺すために何も言わねーんじゃねーかってな」
「っ!」
そうしてルークが次々に口にしていく不信感を抱くには十分だとの言葉の数々もそうだが、強い視線を向けてきたことにティアはたまらず息を呑んで圧されてしまった。その話の中身以上にルークの迫力に明らかに恐怖したよう。
「ま、さっき一応答えは聞いたし少し言い過ぎたって気持ちもあるからここまでにしとくけど・・・その辺りに関しちゃもうちょい考えとけ、いいな?」
「っ・・・えぇ・・・」
ルークはそんなティアに考えるように投げ掛けるのだが、明らかに圧されたままの衝動的な様子で頷くしか出来ていなかったが周りも含めてそんなことを注意する者は誰もいなかった。冷やかな目を浮かばせるその様子から、ティアに関してどう少なく見ても好意的な感情を向けている訳ではないのは明らかだった為に。
「・・・では話が進んだ所で、私は少し領事館にもう一度向かいます。ガイの事についてグランコクマに報告の手紙を出すようにしますので、ティアは一先ず先に戻ってイオン様達に事情を説明してきてください。アッシュとルークは彼女達に手伝ってもらう以上は今のうちに報酬やらの話をしておくべきでしょうから、彼女と話をしてからタルタロスに戻ってください。いいですね?」
そんなやり取りの後にジェイドが以降の自分達の行動について流れを口にし、大丈夫かと確認を取ると三人は揃って頷くがティアはルークからの言葉が効いたまま力ないままにそうするしか出来ていなかった・・・









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